校長ブログ

大学が求める人物像

2024.06.15 大学進学研究
6月15

 毎年、大学入学式での学長や総長の式辞内容が紹介されます。研究力の低下やグローバル化への対応の遅れが指摘される中、競争力の向上に注力し、山積する社会課題に立ち向かうには、従来の学問の枠に捉われることなく、多様性を受け入れる姿勢が大切ということが共通項であり、学習指導要領の中で求められている人物像と一致します。

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 世界大学ランキングでトップ100に入る日本の大学は東京大(29位)と京都大(55位)のみであり、国際性や研究成果に関する低い現状の中、いかに国際競争力を高めるかが問われています。

 大学ファンドの運用益で支援される国際卓越研究大学初の認定候補となっており、認定に向けて体制強化計画などを練り直している東北大の冨永悌二学長は、日本をけん引する大学として、改革を進めつつ、現状の枠組みを超えた学びができるようにすることの必要性を述べられています。

 今年度に予定されている大学ファンドの2回目の公募に応じるという筑波大の永田恭介学長は、文系や理系にとらわれず、多くの学問の最先端の成果を動員して課題に挑戦していく姿勢が必要と説いておられます。大阪大の西尾章治郎学長も文理融合について述べられ、人類として答を見出せていない知のフロンティアに立つことが、教養や専門性、理性を高めてくれるとしています。

 一部の学部で秋入学導入を検討している大阪公立大の辰巳砂昌弘学長は、国際化を推進する上で、多様性を受け入れることが地域や世界へ一層のつながることを強調、互いを尊重し合える姿勢の重要性を説いておられます。東京大の藤井輝夫学長は、性別の偏りについて、構造的差別は自然には解消されないが、それを認識し、自省し、アクションに移すことが不可欠であり、法政大の広瀬克哉総長は、自分とは異なる分野の人と交流できる機会を積極的につかまえてほしいと言われています。アジアで最も学びたい大学になることをめざす早稲田大の田中愛治総長は、しなやかな感性で、異なる国籍、民族、言語、宗教、文化、性別の人々の考え方や感じ方を理解できることの大切さを強調されています。

 社会課題の解決には総合的な知が不可欠であり、グローバルな視野で社会の変化に興味・関心をもち、学びの幅を広げ、社会に出てから責任ある考え方に基づいて行動する力を育成することは必達事項なのです。