校長ブログ

オフラインでも使える生成AI

2024.06.11 EdTech教育
6月11

 マイクロソフトが通信でつながらなくてもスマートフォン単体で使える生成AIを開発しました。メリットは、データを厳選して効率的に学習することによって、開発や導入コストを抑えられること。提携するオープンAIのチャットGPTと併せて提供するそうです。

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 その名はPhi(ファイ)―3。マイクロソフトはチャットGPTの技術をビジネスソフトに取り入れ、開発を進めています。ファイはチャットGPTより速く質問に回答し、導入コストも抑えられるそうです。ふつう、生成AIは大量の計算処理が必要であり、巨大なデータセンターを使って動かしますが、ファイは通信がつながらなくても端末単体で動かすことができ、チャットGPTより高速で質問に回答し、開発や導入コストも抑えらるとのこと。当然、通信環境の悪いところでもAIが使えるようになります。

 ファイの開発に際し、マイクロソフトはチャットGPTの技術を使って知識を学んでいます。そして、効率的な学習で回答精度を高め、同じレベルのAI210倍の性能を実現しました。生成AIは計算資源が大きければ大きいほど強力なモデルを作れますが、強力になればなるほどコストもかかり、電力が膨大になります。チャットGPTの登場以来、性能競争だけでなく、様々な性能のAIを使い分けるケースが一般的になっています。テクノロジー企業はAIの高性能化を進めつつ、提供するサービスの幅を広げているのです。

 例えば、映画や本など、内容をすべて要約できるAIが登場する一方、科学論文に詳しいAIやビジネス文書の処理に優れるAIなどが開発されています。利用者にとっては用途やコストに応じて選択できるメリットがあるわけです。マイクロソフトは高速で使いやすいAIを開発することによって、より幅広い用途に応えられるようになったのです。

 競合ではメタが高速で使いやすくしたLlama(ラマ)3を発表、グーグルやその他新興企業も性能に応じて「大中小」の3つのAIを公開しています。AI開発では改良スピードを速めるため、外部の開発者が無償で技術を使えるオープンソースとしてサービスを提供する企業も増えています。グーグルはAIは開発を進める一方で一部技術を開放しています。マイクロソフトは今や、オープンAIと提携してAI戦略をリード、世界首位になっています。日進月歩の分野でも日々、競争が繰り広げられているのです。