校長ブログ

米国の日本語教育

2024.05.18 グローバル教育
5月18日

 米国での日本語教育に従事する人材が先細りしているそうです。教育機関も3年間で14%減り、教員の高齢化も進んでいます。これまでの日米関係を支えてきただけに両政府は日本人教員の移住など、様々なバックアップを試みています。

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 堤菜央氏(27)は、大学を卒業後、一旦、就職したものの、日本について外国人に英語で紹介する仕事に就くという夢をもったとか。マサチューセッツ州にあるALLEX(アレックス)財団の奨学生に応募され、ボストン近郊にある名門女子大のウェルズリー大に派遣、日本語会話を教えています。日本語を教える代わりに寮費や食費、滞在費が支給され、大学の授業も無償で聴講できます。

 ハーバード大で日本語講師を務める弘実紗季氏(28)は、大学卒業後、同財団の奨学生として日本語を教えながら、オレゴン州の州立大で日本語教育の修士号を取得されています。財団は、学位取得を目的にしない任期1年と、修士号などの取得を目指す任期2年という2種類の派遣プログラムを用意。米国の大学学費が高騰する中、日本語を教える代わりに授業料や滞在費、食費が免除されるメリットもあります。

 2003年以来、1000人以上の日本人講師を全米200校以上の大学に派遣してきましたが、応募者は年100人程度と約20年前の3分の1ほどに減少しています。背景にあるのは、国内の就職環境が良好なこと、円安による米国滞在費の増加、学位取得のために留学する人がそれほど多くないことなどが考えられます。

 減っているのは財団の応募者数だけではありません。国際交流基金によると、日本語を教える教育機関は2021年度で見ると、前回調査年度より14%減少しています。

 教員の高齢化という課題もあります。米国で日本語を教える教員らでつくる中部大西洋岸日本語教師会の調査(2023)によれば、回答者の半数が51歳以上だったとのこと。今後、日本人の若手教師らの就労ビザ取得手続きの緩和や日本語教師養成プログラムの増加などが不可欠となります。

 米国は昨年、日本語を優先的に扱うことなどを確認しています。日本語教育の拡充に向けて、米国移住を希望する日本人教員への情報提供、民間を含む教員派遣プログラムの支援などに取り組むことになっています。まずは、米国で教えるために必要な条件を記したマップを秋にも公開するそうです。いずれもしても日米の相互理解の一旦が。日本語教育の命運を握っていることは言うまでもありません。