校長ブログ

英語4技能の習熟②

2024.05.03 グローバル教育
5月3日

 前日の続きです。

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W:最近では、頻度の高い表現がコーパスで検索できるようになったこともまた大きな助けになっていると思います。

校長:そうだね。外国語としての英語を学ぶ場合、学習者の思考を言語化する過程で認知に負荷がかかりすぎると停滞するよ。これまでの研究では、発話思考法、直接観察、書き手の追観、書かれた作文の分析、ビデオ・モニタリング等がなされてきたけれど、今ではコンピュータ・プログラムに着目したデータ収集を行うなど、様々な工夫が重ねられているね。

W:確かにそういうことを大学でも勉強しました。

校長:外国語を学ぶ場合、母語話者と比べると、使用頻度が少ないから、思考を言語化していく過程で、文法に基づく処理を行うだけでなく、ストックされた定型表現を活用することで負担を軽減できるのもまた事実だね。作文が借文と言われる所以だね。

W:なるほど。私も借文をしてきましたし、今でも実践しています。スピーキングの指導が一番難しいように思うのですが...

校長:スピーキングは、自分が発言したい内容をまとめ、言語化し、音声化、それをモニターしてフィードバックするいう過程を経て実現されるんだね。それに加え、コミュニケーション力を豊かなものにするには、状況に応じて適切な表現を選択する社会言語学的能力、談話的能力、背景知識、論理的思考力などもブラッシュアップしておかなければならないよ。

W:よくわかります。学習指導要領が求める指導-思考・判断・表現する力の育成の近道は何でしょうか?

校長:近道はないけど、リテリングという手法を紹介しておくね。

W:英文を読んだ後、本文を見ずに、その内容を第三者に語る取り組みですね。

校長:そうそう。一般的には、本文を読んだ後、テキストを閉じて行うのがふつうだね。相手がまったく知らない内容をわかりやすく伝え、理解してもらうことがねらいだから、英文の情報を頭の中でいかに整理し、いかに表現するかがポイントだよ。まとまりのある英文を読み、リテリングを行うとスピーキングにつながり、逆に、リテリングを聴くことがリスニングにつながるという相乗効果が期待できるよ。その意味で、リテリングがポスト・リーディング活動として有益であるのがわかるはずでね。

W:確かに。

校長:リテリングの"強み"は、本文の情報を伝えるだけでなく、話し手の背景知識を統合して状況全体が表現されること。相手の理解度を高める手段としては、1枚の絵を使ったpicture description、図や表にまとめる方法などがあり、やり方は様々だね。大切なのは、話し手が頭の中で情報をまとめ、伝えたいことを言語化し、自身の理解をより深められることだね。

W:ありがとうございました。たいへん勉強になりました。校長ブログには是非、再現してください。引き続き、よろしくお願いします。