校長ブログ
理系人材育成に向けて
2024.03.01
カリキュラム・マネジメント
3月1日
世の中には、生成AIをはじめとして、科学の進歩によって優れた技術や製品があふれかえっています。生徒諸君には、勉学だけでなく、日常生活の様々な場面で科学の知識を活かしてほしいと思います。
今、デジタル分野や脱炭素などの成長分野の人材を増やすため、理系学部の拡充が掲げられています。今後、科学を学ぶ機会はますます増えていくのでしょうが、生徒諸君は科学に関して、どのようなイメージをもっているのでしょうか?理数科目が難しく感じるようになり、挫折した、文系なので関係ないなどの声が聞こえてきます。
そもそも科学の役割とは何か、そして、科学を学ぶ意義を考えてみましょう。前提となるのが、自然界の仕組みを理解し、人間生活をよりよくするために活用することに他なりません。地球が太陽の周りを回っていることを人類が知ったのは約500年前。イタリアのルネサンス期です。観測を通して、太陽が地球を回る天動説に疑いをもち、地球が太陽の周りを回ることを明らかにしたのです。
科学は、このように、日常生活の様々な事象に疑問を持ち、知りたいという好奇心が出発点になります。大切なのは、身の回りの出来事に疑問を持つこと。そこから仮説が生まれ、検証、観察し、新しい知識を学ぶのです。この繰り返しが科学の歴史と言えるのです。
そして、自然の仕組みを利用して新しい技術を生み出すことも科学の重要な役割と言えます。イギリスで始まった産業革命では蒸気機関が発明され、それがきっかけとなり、蒸気という化学反応を力に変える新技術が生み出され、人々の生活を飛躍的に向上させたのです。
科学者が本格的に活動を始めた20世紀は「科学の世紀」と呼ばれ、飛行機、テレビ、半導体、インターネットなどが生み出され、最近ではコロナワクチンが実用化、感染拡大の防止につながりました。一方、AIは生活を便利にするものの、人間の仕事を奪うのではないかと指摘されており、科学の進歩を不安視する声もあります。しかし、これからはAIの進歩に耳を傾けつつ、未来を先取りするような発見や発明が実用化されるよう役割分担を明確にしなければなりません。
地球温暖化やSDGs、原子力発電など、科学が関係する課題は山積しています。研究分野は細分化され、わかりにくくなっている現状だからこそ、ネット、本、新聞、雑誌などを通じて常に情報アップデートしながら、主体的に人生を切り開くことが心構えとなるのです。