校長ブログ

部活動改革の行方

2024.02.14 トレンド情報
2月14日

 文化庁とスポーツ庁が主導する部活動(クラブ)改革では、少子化と働き方改革に対応すべく、2025年度までに少なくとも土日の部活動を地域に移行させることになっています。

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 部活動の歴史は150年余りの長きに亘り、学習指導要領にも学校教育の一環と位置づけられ、様々な活動と関連付けながら、自主的な活動が展開されてきました。

 歴史的に見れば、特に、体育系は、東京五輪(1964)に始まる競技力向上、社会問題にまでなった校内暴力の非行予防など、スポーツだけでなく、健全な学校教育を展開する上で大きな貢献をしてきたのです。

 また、体育学・スポーツ科学では多くの知見が積み重ねられ、生涯スポーツへの動機づけや格差是正に加え、ライフスキルや非認知能力を高め、学校の安心・安全に伴うスクール・アイデンティティーの確立につながったのです。一方、勝利至上主義に基づく体罰、選手中心主義に基づく不平等、部活偏重による心身への傷害やバーンアウト(燃え尽き)現象などの問題も指摘されてきました。

 清水紀宏氏(筑波大学教授)は、子どものスポーツ環境を大きく変えるべきだと述べられています。具体的には、従来の運動部モデルをそのまま移行するのではなく、スポーツ種目の中から1つを選び、 学校の仲間と対外試合の勝利をめざし、競技力向上のための活動は指導者の指導の下に、年間通じて休みなく取り組むスタイルを提案されています。

 スポーツ庁のガイドライン(2022)には、従来型の活動、複数の種目・分野を経験できる活動、障害の有無にかかわらず、また、異なる世代の人と活動などの機会が予定されています。

 清水教授は、スポーツや文化享受に関わる様々な格差が生まれること、この改革が中央官庁からのトップダウンで進められていることを懸念されています。前者については、これまで学校と地域が連携する場合、主体が地域人材にあるため、それだけ質や量に制約が加わり、地域格差が生じ、結果、スポーツはすべての人々の権利であるとするスポーツ基本法に逆行するというものです。

 学校が「知徳体」をバランスよく伸ばす教育機関であり、4月施行の子ども基本法には、意見表明権や能動的権利が明記される以上、子どもたちの「生きた」声を原点にした持続可能な仕組みづくりが必須なのです。