校長ブログ
植物の声
2024.02.06
教科研究
2月6日
キノコなどの菌類が、超音波や電気信号を出していることが分かってきました。いくつかのフレーズを繰り返すという見解もあり、対話のようなやりとりの可能性が話題になっています。植物の「主張」がわかれば、開花時期を調整することによって農業の発展に寄与するかもしれないのです。
イスラエルのテルアビブ大学などの研究チームが科学誌「セル」(米)にトマトやタバコは乾燥させたり、茎を切られたりすると、周波数帯の20~150キロヘルツの超音波を出すことを発表。人が聞き取れないものです。超音波を出す理由については、水や養分を運ぶ維管束などにできた気泡が破裂して超音波になったとされています。
農地にセンサーを設置して、観測することができれば、植物が乾燥を求めて発した音をもとに与える水が節約できるなど、農業に応用できるかもしれません。ストレスを感じた植物が信号を出すことは以前から知られていたものの、研究者が超音波に注目するようになったのはこの10年ほど。スマートフォンの普及に伴い、マイクやセンサーが高性能になり、植物の出すわずかな音などをとらえるようになってからです。
サンタンナ高等研究大学院(伊)によると、モデル植物であるシロイヌナズナで遺伝物質マイクロRNAについて、水耕栽培で株を育てる実験をしたところ、マイクロRNAが根から放出され、別の株の根から取り込まれ、開花が遅れたそうです。つまり、マイクロRNAが開花に関わる遺伝子の働き方を変えたわけです。
西イングランド大学(英)は、 電気信号に着目しています。土の中に菌糸をはりめぐらせているキノコがまるで神経のネットワークのようであり、それを電気信号をやりとりに見立てています。実験(2022)では、菌類に電極を刺して電気信号を調べたところ、キノコは繰り返し出ている波形があり、最大50種にも及んだそうです。
これまで菌類は光や化学物質を受けると、電気信号のパターンが変わることや植物の根に共生したときに出す信号などがあることは電気信号を受け取って何かの反応が起きるのかまでは分かっていませんでしたが、科学は進歩しているのです。