校長ブログ

昭和99年からの脱却

2024.02.17 トレンド情報
2月17

 今年、日本に暮らす人の半数が50歳を超えるそうです。団塊ジュニアも50代になり、現場を支えた豊富な労働力にはもはや依存できなくなりました。次世代となる2030代は2027年には37.7%まで減っていきますが、職場は若返るという現実があります。当然、物価と賃金は上がるでしょうが、そうすれば、停滞から抜け出せる可能性も生まれます。

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 日本を世界第2位の経済大国に押し上げた昭和のやり方ではもはや世界の潮流にはついていけません。昭和のモデルと言えば、熟練とともに責任が増し、年功序列で待遇がよくなるというものでした。しかし、それでは経験値が重視される製造分野ではよくても、技術が日進月歩で進化するデジタル分野では通用しません。「昭和99年」と揶揄される所以です。

 バブル経済が崩壊してから日本経済は伸びませんでした。経済力を示す1人あたりの名目GDPは2022年に3.4万ドルで、世界で32番目。2000年は世界2位でしたが、G7(主要7カ国)の中では最下位となっています。

 昭和の時代は人口が増加し、国土に人がひしめきあい、日本は高度経済成長を成し遂げました。しかし、これからは、人口が減少し、国内市場は縮むのです。高齢化に伴い、医療や介護など社会保障の負担も増していきます。ポイントとなるのは、個性重視で若者の力を最大限に引き出し、世界に飛び出すことで成長する国として若返りを果たすことができるのです。

 併せて、働き手が足りないとなれば、海外から人材を呼び込むしかありません。例えば、採用支援をする「ASIA to JAPAN」(東京)は、2025年から日本の企業で働く学生の面接会があったインドを訪れ、最優秀とされるインド工科大学から160人を顧客企業への入社を決めています。

 国内で働く外国人労働者は2022年で182万人、日本の就業者数の約3%を占めています。しかし、東南アジアの経済成長や円安などで海外の若者は来日して働く動機が揺らいでいます。その意味で、留学生がキャリアアップし活躍できる環境づくりが必要なのです。

 現在、働く留学生は25万以上いますが、2019年と比べると6万人減少。コロナ禍の影響で入国者数は例年の水準を下回っていると言われています。韓国やオーストラリアが外国人労働者の受け入れに積極的である以上、日本の魅力を発信し、外国人の長期就労を可能にする仕組みづくりが早急の課題です。

 日本の場合、高度人材については積極的である一方、それ以外は消極的と考えられています。しかし、技能実習生と留学生が60万人以上働いている現状からすると、日本の多くの産業が外国人材に支えられていることは疑う余地がありません。国は人材確保が難しい産業に限定し、外国人労働者の受け入れを可能とする特定技能制度を創設していますが、試験制度などの整備も進めています。グローバル化が進む中、あらゆる海外人材が長く活躍できる仕組みづくりが焦点化されているのです。