校長ブログ
PISA調査から見えること
2024.01.23
トレンド情報
1月23日
OECD(経済協力開発機構)が2022年に実施したPISA調査の結果が公表されました。対象は、世界81カ国・地域の15歳であり、約69万人。日本は読解力3位、過去最低の15位となった前回(2018年)より大きく改善しています。また、数学的応用力は6位から5位、科学的応用力は5位から2位に躍進しています。学校での授業改善が進み、複数の文章やデータを読み解く力が向上した言えます。
PISAにおける読解力の定義は、「テキストを理解し、利用し、評価し、熟考し、これに取り組むこと」であり、あらゆる学びの基礎となっています。2003年調査では8位から14位となり、「脱ゆとり教育」で回復してきたものの、2018年調査では再び後退しています。スマートフォンやSNSにより、長文に触れる機会が減ったためと言われています。
今回の平均得点は516点であり、12点アップ、得点別でも最下位層が13.8%と3.1ポイント減っています。設問としては、ウェブサイトの内容理解や記載内容を吟味する問題などが出題。今回の改善について、文科省は、コロナ禍での休校が他国より短く、学習機会を確保できたことが要因の一つと考えています。しかし、日本は休校した場合、自分で勉強の予定を立てることなどにとても自信があると答えた生徒が10%未満であり、自律的な学習の指標は最下位です。
数学的応用力については5位である一方、理系の生徒・学生は増えておらず、研究力の低下が懸念されています。文科省の科学技術・学術政策研究所(2018)によれば、数学の論文数は中国、米国、インドが上位を占めていますが、日本は9位。また、約1割いる下位層も減っておらず、リテラシーの育成のための工夫が必要となっています。「実生活の問題の中から、数学的な側面を見つけること」について自信がある生徒は22.7%であり、平均の51.2%を大きく下回っています。教員が日常生活と絡めた指導については、37カ国中36位。いかに日常生活に近い授業をして生徒の興味関心を高められるかが日本を再び技術立国に押し上げると言い換えられるのです。