校長ブログ

賃金格差の問題

2023.12.01 トレンド情報
12月1日

 OECD(経済協力開発機構)によると、日本の男女の賃金格差は25年間で15ポイント縮小し、21.3%の差まで縮まったとのこと。背景には企業の待遇改善がありますが、それでも先進国平均の約2倍あり、誰もが平等に働ける職場環境の整備が不可欠なことがわかります。

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 ノーベル経済学賞のクラウディア・ゴールディン氏は、女性の労働参加率が向上していることを評価していますが、女性が労働力になるだけでは十分ではないと言われています。OECDでは、男女の週当たり総収入額の差を比べると平均は11.9%。国別で見ると、米国17.0%、英国14.5%、フランス11.6%であり、日本よりも差が小さくなっています。日本で格差が大きいのは、女性はパートなどの非正規雇用が多いこと、管理職が少ないこと、勤続年数が短いことなどが挙げられます。

 厚労省によると、賃金格差について、女性全体でみると男性の76%弱の水準ですが、部長や課長などになった女性は男性の88%弱。勤続年数でも、出産などの事情もあり、男性より短くなる傾向があります。

 厚労省は、管理職の割合と勤続年数による格差をなくすと女性の賃金は、フランスやドイツ等と同じレベルの男性89%強に改善すると見込んでいます。江口匡太氏(中央大学教授)は日本の企業は成果だけでなく、長時間労働などを重視する傾向にあり、実態として、女性は評価されづらく、管理職登用が進んでいないと指摘しています。また、同省によれば、正社員で男性の賃金に対する女性の割合は82.9%であり、時短や新卒の女性の比率が高いことが見て取れます。経団連の調査では、仕事と両立しづらい職場環境や長時間労働が男性の家事・育児参加を阻む原因の一つにもなっているとのこと。

 欧州では男女の賃金格差に関する法整備が進んでいます。日本でも従業員301人以上の企業に賃金格差の開示が義務づけられています。勤続年数や労働時間の長さが昇進や給与に影響する前年踏襲を見直す時期に来ていることは疑う余地がないことなのです。