校長ブログ

ワンオペ海外駐在

2023.12.08 トレンド情報
12月8日

 海外に進出している日本企業における駐在員の占める割合は男性が95%であり、女性のグローバル人材が不足していることが課題となっています。シリコンバレーがその典型。しかし、近年では、夫を日本に残し、子どもを帯同する「ワンオペ駐在」など、多様な働き方をする女性が増え始めています。

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 シリコンバレーと言えば、イノベーションのメッカ。最先端技術のイメージが強いものの、エンジニアやベンチャーキャピタルはいまだ男性が中心であり、ニューヨークやシンガポールと比べて女性の活躍は遅れていると言われています。現地の日本企業は約1,200社ありますが、駐在員約100人に対して、女性がゼロの拠点もあるそうです。

 近年では新規事業やスタートアップなど、様々な取り組みがなされ、変容が見られます。日本では、夫が妻の海外赴任に伴い、休職や退職する例は少なく、夫のワンオペが難しい場合は、妻が子だけを帯同することが多いとのこと。夫の転勤に合わせて自分も異動して働く女性が多いのもまた事実。家庭がある女性には海外赴任を打診しにくく、結果、女性駐在員は単身が中心となり、海外拠点の管理職が男性になってしまうという繰り返しです。

JWIBA」の調査(対象:女性駐在員約50名)によれば、男性社員が妻子をつれて赴任するのが前提となっており、制度が一律設計されているというのが現状です。実際、海外赴任は結婚や出産などライフステージの変化が多い時期に重なることもあります。

 人口減少に伴い、日本企業は海外に市場を求めざる得ません。そうなると、男女問わずグローバル人材を増やすことが喫緊の課題となります。しかし、キャリアパスとなる海外赴任へのハードルは高く、女性が活躍できる場が十分に開かれていないようです。最近では、企業横断で赴任経験者がネットワークを作ったり、育児を手伝う家族を帯同者とみなし、保育園に預ける環境に近づける手当を出す企業もあるとか...。今後、共働きが主流になったことで、男性のワンオペ駐在が増えることもあり得ます。

 求められるのは、制度設計だけでなく、各自が個々の働きやすい環境を自発的に生み出す努力です。仕事に対する悩みは人それぞれですが、意欲を高め、活躍する場を広げる新機軸に期待したいものです。