校長ブログ
神戸企業のAI活用
2023.12.15
トレンド情報
12月15日
神戸に国内初のマイクロソフト(MS)のAIやIoTの開発支援拠点が誕生し、企業が事業拡大するチャンスが訪れています。スタートアップ企業の成長は、さらなる経済活性化につながります。
神戸市が世界でも6カ所目となるAIラボの拠点に選ばれた背景には、シリコンバレーに直営拠点を持っていることがあります。施設を利用する際は、インターネットから申し込み、オンラインで打ち合わせをし、神戸のラボでシステムなどをエンジニアと1週間ほどで構築するとのこと。
企業にとってAIラボは事業拡大のチャンス。例えば、洋菓子メーカーの老舗でバームクーヘンなどで有名なユーハイム。AIを活用し、職人がいなくてもそれと同じレベルのバウムクーヘンを焼き上げる専用オーブンTHEO(テオ)を開発しています。また、旭光電機は、受注につなげるために、自動ドア用センサーの実物に触れられるようにし、MSの拠点を利用する企業に工場の稼働状況などを可視化するセンサーを無償で貸し出しています。
デジタル技術の利用に積極的な同市は、チャットGPTなどの生成AIの利用に向けて条例を制定しています。従業員が働く場所や勤務時間をデータ化するAcall(アコール)は、オフィスの入退館や会議室の予約システムを企業向けに販売しています。コロナ禍で柔軟な働き方が広まったこともあり、導入する企業や行政機関が増えているそうです。
「医療産業都市」として長年集積を進めてきた医療・バイオ関連企業も成長の芽が出てきました。微生物の遺伝情報を改変する技術を持つ神戸大発スタートアップのバッカス・バイオイノベーションは、出光興産とバイオ燃料などの生産に活用する微生物の開発をスタートさせています。バイオ工学など、先端分野を連携させて技術のシーズ(種)を生み出している神戸大学は、大学発スタートアップを増やす方向であり、企業と連携して、民間資本100%のファンドも創設しています。
コロナ禍以降、テレワークや人手不足が浮き彫りになり、デジタルへの関心は高まっています。DX化の推進は自明ですが、まずはIT企業の集積と人材育成が先決。神戸にはスーパーコンピューター『富岳(ふがく)』もあり、マイクロソフトが拠点を設けたことで、人材や企業が集積する好循環が生まれました。次世代産業への発展が期待される事例です。