校長ブログ

関西国際大の取り組み

2023.11.14 大学進学研究
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 この10年、日本の総人口は2%減りましたが、在留外国人は39.8%増加しています。(出入国在留管理庁)その中で、高校世代(15歳〜19歳区分)の外国人は約76千人で増加の一途をたどっています。(国勢調査、2020

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 外国にルーツをもつ保護者と生徒は、学校選びや入試準備で困難に直面することもあり、このため高校入試では特別枠での受験が広がっています。大阪府立高校ではすでに8校が特別入学選抜を始め、300人以上の生徒が在籍しています。本校においても、英語型重視の入試を実施しており、現にグローバル選抜探究コースには、外国にルーツをもつ生徒が入学、活躍しています。

 外国ルーツの生徒受け入れのための特別入試と言えば、国立では宇都宮大、私立では東洋大、大阪女学院大などがありますが、大半は定員が若干名です。

 関西国際大学は、保護者が外国籍である日本に住んでいる高校生らを対象に「外国ルーツ生徒特別型入学選抜」(2024〜)をスタートさせます。同時に、「外国ルーツ学生奨学金」を設け、入学金の50%相当と授業料等の30%相当の奨学金を全員に支給するだけでなく、入学後も成績によっては授業料等の30~50%相当の奨学金を支給するとのこと。具体的には、5学部で受け入れ、うち3学部は定員(35人)を設定し、所得制限はあるものの、全員に奨学金を給付します。選考は、個人面接(20分程度)と志望理由書・調査書で総合判定となっています。

 奨学金が設けられた背景には、外国ルーツのご家庭は共働きで非正規労働が多く、経済状況が安定していないという事情があります。また、これまで同大学には、多様な学生を受け入れ、必要とされる支援を行いながら、グローバル社会で活躍できる人材を育ててきた歴史と伝統があります。

 歴史をひもとくと、日本は、明治以降、ハワイ、南米、北米へと多くの移民を送り出し、数世代にわたり、生活基盤を築いてきました。1世は主に、第1次産業に従事しましたが、2世・3世は大学に進学し、医師、弁護士、政治家など、専門的知識を修得するようになりました。1980年代以降は、アジアや日系南米人などが日本の労働力不足を補い、日本の経済発展に多大な貢献をしたのは周知の通りです。しかし、子どもたちの教育支援のあり方については課題が残っています。

 グローバル化における多文化共生に向けて、産官学が連携を進め、教育環境の充実を図るのは大学のみならず、教育界全体の問題なのです。