校長ブログ
共生に向けて
2023.11.02
トレンド情報
11月2日
紛争などで国を離れた難民や避難民の方々が経験を活かし、人手不足に悩む日本企業に貢献されています。日本語でのコミュニケーション力には温度差があるものの、ITスキルや試練を乗り越えてきた行動力に期待されているのです。
現行制度では、政府から難民と認められれば日本に定住できますが、実際、審査に数年を費やします。東京にあるNPO法人である「WELgee」は難民申請とは別に、学歴や職歴を生かして就職先を見つけ、高度人材向けの在留資格「技術・人文知識・国際業務」を取得し、これまでに約30人の就職を実現したそうです。
例えば、オンラインで中古商用車を売買するネントリーズは、コンゴ民主共和国出身で、母国で大学院まで進学し、複数のプログラミング言語を習得、AI技術を駆使して開発の仕事に携わっている20代の男性を採用しています。最初はアルバイトとして入職し、徐々に日本語コミュニケーション力をつけて正式採用、活躍されているとか。また、アフリカで事業展開するヤマハ発動機は、難民認定を申請中だった30代男性を嘱託社員として採用、マーケットリサーチや顧客獲得の面で貢献されています。世界中には優秀な方がたくさんおり、日本との橋渡しに一役かってくれているのです。今後、ダイバーシティが進む中、外国ルーツの人材への企業の関心は益々、高まっていくことは自明です。
ただし、日本の大学や日本語学校で学んだ留学生と比べると、ビジネスレベルでの日本語を身につけていない場合が多いのが実情です。WELgeeはまず、日本語に自信がなくても働きやすい職場を企業側と検討し、アルバイトなどで働く期間を設け、相性を見極めるとのこと。また、特別なキャリアがなくても企業が課す課題をクリアできれば、チャンスが与えられる企業もあります。
背景には、ロシアのウクライナ侵攻により二千数百人の避難民が来日したことがあります。教育産業では、学習アプリを提供するモノグサが、一般財団法人「パスウェイズ・ジャパン」の協力の下、避難民に日本語を学んでもらえるようウクライナ出身の留学生をアルバイト採用しています。ちなみに、企業からの雇用支援などの申し出は870件にのぼるそうです。
海外でも同様の取り組みが始まっており、米国ではアマゾンが3年間で5,000人の難民を米国で雇用することを宣言し、数十社が2万人超の雇用方針を打ち出しています。
外国人が日本で暮らすには29ある在留資格のいずれかが必要であり、その壁は高いと言われています。 就労目的の資格で技能実習は約33万人ですが,次に多いのが「技術・人文知識・国際業務」の約31万人。留学生が国内の大学・専門学校を卒業後に取得する例も多いようです。留学生受け入れに伴い、今後、取得者は増加することが想定されますが、キーワードは「共生」であることは言うまでもありません。