校長ブログ
看護師不足
2023.10.25
トレンド情報
10月25日
コロナ禍で大都市圏を中心に医師と看護師不足がクローズアップされたのは記憶に新しいところですが、高齢化社会が進む中、危機感は益々、高まるばかりです。そのような中、高知県のように、養成学校に加え、奨学金制度や就職後の研修などの支援策を充実させ、福祉先進国の北欧を超えるレベルの自治体はロールモデルになります。
「衛生行政報告例」(厚労省)によると、看護師(准看護師含む)は156万人(2020)、看護職員(保健師や助産師含む)は173万人であり、10年前に比べると約2割増えているものの、2025年に必要とされる200万人にはまだまだ及びません。人口10万人あたりの看護師が1,800人台のフィンランドやノルウェーと比べると、日本は1,200人台という実態からも追認できます。
看護師の求人倍率も愛知県が2.8倍、東京都が2.7倍と大都市の不足が顕著であるのに対し、高知県は1.25倍にとどまっています。中山間地が多く、高齢化率の高い同県の人口あたりの病床数は全国平均の約2倍となっており、一定の人数が確保されています。また、離職率も高知県は7.8%と全業種平均である10.6%より低くなっています。しかし、入院日数も長くなる傾向があり、県民1人あたりの医療費が高いという課題もあり、訪問看護に対応できる看護師の育成にも力を入れています。
今、看護師確保は全国的な課題です。高知県と並び、養成学校が人口あたり最多で、離職率も7.2%と低い佐賀県のようなリーディング・ポジションにある自治体は、養成学校が多く、離職率も低い傾向にあります。佐賀県では、訪問看護サポートセンターを開設、高齢化に対応する訪問看護が可能な人材確保を進めています。また、鹿児島県のように、離職中の「潜在看護師」の復職に向けた対応や最新医療機器の取り扱いなどを学ぶセミナーを無料で開催したり、徳島県のように、55歳以上の潜在看護師向けに病院などとのマッチング事業を行う自治体もあります。いずれにしても、看護師の離職を減らし、家庭と看護師を両立できる仕組みづくりが求められているのです。