校長ブログ

生成AIに関する有識者の視点

2023.10.13 EdTech教育
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 チャットGPTをはじめとする生成AIのイノベーションに対し、深層学習の世界的権威であるアンドリュー・ング氏(Andrew Ng、スタンフォード大学兼任教授)は、ご自身が携わったグーグルのチームが発表した論文から生まれたものであるということ、そして、将来、何が起こるか正確に見通せていたわけではないものの、変化の胎動を感じていたと述べられています。

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 チャットGPTについては、技術的に高度なだけでなく、親しみやすさ、使いやすさで多くの人の想像力をかき立てると言及されています。また、100年前の電気と同様、顧客サービスや情報収集、電子メールの作成などに応用でき、すでにインターネット広告から医療の画像診断まで広く役立っていることを例にあげています。そして、汎用技術、つまり、様々な用途で役立つことは疑う余地がないが、消費者向けと捉えられてはいること自体、過小評価としています。

 チャットGPTがプログラミング作業の障壁を低くし、社会に変容をもたらそうとしている今、医師や弁護士の試験に合格する知的水準に達し、人間を超えるレベルに至っているのでないかという質問に対し、特定の作業ではそうであっても、訓練された専門性を凌ぐわけではなく、人間の役割を全ては担うことはできないとされています。  

 また、AIに生活を奪われるのではないかと危惧している人々への配慮を不可欠とし、リスキリング(学び直し)に投資し、AIが生む巨大な価値を享受できるようにすることが社会の責任とコメントされています。AIが自動化するのは仕事の一部であり、多くの職業でその比率は2040%になる可能性が濃厚であるので、余った能力を使い、より価値のある仕事ができるかどうかがポイントととも発言されています。

 AIは人類を絶滅危機に追い込むリスクが指摘されていますが、誇張しすぎであるとしています。実際、パンデミックや気候変動、小惑星の衝突などの危難を解決する鍵になり、EUなどでAIへの規制が導入されようとしていることを懸念し、透明性を求めています。 

 スタートアップ企業については、グーグルとオープンAIが中心になり取り組み、シリコンバレーに人材が集中しているものの、日本には、ロボットや自動化、AIに興味・関心を示す起業が多いことから、チャンスはあると考えられています。

 確かに、テクノロジーには危惧や警戒もつきまとうものですが、負の要素を抑え、真価を引き出すのは人類の知恵であることはいつの時代も変わりません。