校長ブログ

環境問題

2023.09.28 トレンド情報
9月28

 人間がどれほど地球環境に影響を与えているのかという問題がクローズアップされてきましたが、これまでは検証し難いものがありました。しかし、コロナ禍における行動制限でその影響力の一部が明らかになりました。

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 科学者はこの危難を人間の影響を見極める機会と捉え、様々な挑戦を試みています。ワシントン州立大学をはじめとするチームはグレイシャー国立公園(モンタナ州)が閉鎖中の2020年と訪問客を受け入れた2021年、野生動物の行動がどのように変わるのかをカメラで調べ、22種のうち16種が人間がいる日中の活動を減らしたり、行動する範囲を変えることをつき止めました。想定範囲内のことですが、改めて、人間の行動については考えさせられる事例です。

 ワシントン州立大は、人間が野生動物に影響を与えてきたことは事実であるものの、種の生存や繁殖、健康への影響について調べているわけではなく、人間が悪か否かは研究の対象外としています。そして、人間の立ち入りを禁止することよりも先にやるべきことがあると指摘しています。

 類例として、世界の石炭依存を考えてみます。コロナ禍からの経済の回復に猛暑が加わり、電力需要が膨らんでいます。また、ウクライナ危機で欧州は天然ガスの供給不安に陥り、石炭に回帰。石炭火力は新設が進み、脱炭素の目標がかすんでいます。

 CO2排出量で世界の3割を占める中国は電源の過半を石炭に依存しています。石炭は低コストで調達しやすいこともあり、新興国だけでなく、先進国も活用しているのです。国際エネルギー機関(IEA)によると、石炭需要は世界2位のインドは8%増。日本は電源の30%前後を占める状態が続いています。世界全体も2023年に過去最高を更新する見込みだとか...

 温暖化ガスの排出量が多いことは変わりありません。世界の再生可能エネルギー発電量は約20年で3倍になったと言われています。結果、成長する経済を再生エネだけでは支えきれていないのです。

 温暖化対策のパリ協定は、産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑える目標を掲げ、熱波や豪雨などのリスクを回避しようとしています。人間と地球の関係を考えたとき、人間を自然から切り離して考えることをできません。二律背反というよりはむしろ人間の創意工夫が地球環境を改善させるのです。