校長ブログ
子どもの居場所と自己肯定感
2023.09.26
トレンド情報
9月26日
日本人の若者の「自己肯定感」の低さが指摘されて久しいものがあります。国際比較調査(13〜29歳対象、内閣府、2018)によれば、「自分自身に満足している」と答えた人は45%であり、トップの米国87%、韓国74%には及ばないことが浮き彫りになっています。
2020年の東京都の発表によると、「自己評価・自己受容」の感情は小学生から年々落ちて高2で最も低くなるとのこと。平岩国泰氏(放課後NPOアフタースクール代表理事)は、学校の取り組みには限界があり、放課後の居場所を充実すべきだと述べられています。(校長ブログ2023.5.22)同氏らは、小学生の放課後を支える活動として、毎日、小学校の施設を活用し、いつでも誰でも参加できる「アフタースクール」を開校、スポーツ、音楽、ものづくり、料理、遊びなどを展開されています。また、兵庫県南あわじ市など、アフタースクールを全市的に導入する自治体とも連携された取り組みを行われています。
その中で、放課後に自己肯定感を高める子供がとても多いことにも言及され、キーワードとして、「居場所」「余白」「伴走者」「貢献感」の4つを挙げています。「居場所」は、小中高生にとって気持ちのよい場、人間関係がよい場、新たな出会いや発見がある場などのことであり、量と質が不可欠と考えられています。「余白」は、タイトスケジュールの中での自由時間のことです。「伴走者」は、自己肯定感は1人で育まれるものではなく、受け止めてくれる存在があってこそはじめて高まるものであり、多忙である保護者や教員に代わってアフタースクールの「市民先生」の出番と言われています。「貢献感」は、違う学年の子供が相談相手となり、他人のために貢献できる環境が成長の一歩とされています。そしてこの4つのキーワードが揃うのが放課後であるからこそ、「アフタースクール」の意義があるとおっしゃっています。
個別最適化が進められ、様々な工夫が広がっています。自分の時間を最大限に有効活用できるタイム・マネジメントを自己調整しながら主体性を育むことはできれば学習者自律(learner autonomy)につながることは言うまでもありません。本校では産官学協働による教育実践を展開していますが、社会全体で次代を担う若者を育てることが時代の要請なのです。