校長ブログ
失敗から学ぶ
2023.09.13
トレンド情報
9月13日
誰もが経験するのが「失敗」。決して気持ちのよいものではありませんし、また失敗するのではないかと考えてしまい、行動できなくなってしまうことがあるかもしれません。しかし、どんな人でも失敗はつきもの。失敗を乗り越えて新たな一歩を踏み出した経験が多いほど、人は成長できるのです。それは人であっても、制度であっても同じ。
日本の教育は、正解主義、つまり、正解が1つと思い込んでおり、効率的よく速く正解にたどり着くことが重視されてきました。その典型が高校入試や大学入試。明治時代から脈々と受けつがれ、点数順に「ふるい」にかける仕組みが偏差値を生み出し、その基準で子供たちをランクづけしてきたのです。
OECD(経済協力開発機構)の15歳を対象にした調査(2018)では、いわゆる受験競争が激しい東アジアの国や地域では失敗を恐れる生徒の割合は高く、加盟国中では日本が77%でトップだそうです。
中邑賢龍氏(東京大学シニアリサーチフェロー)は、自由な時間の中で子どもたちに学びの面白さに気づかせるLEARN(ラーン)という取り組みを行われています。具体的には、スマートフォンなしで初対面の仲間と未知の土地をゴールまで行く5日間の合宿を企画したりするそうです。そこでは予備知識も大人の手助けもないにも関わらず、子どもたちは未知の力を発揮するとのこと。同氏は「革新を生む人材を育てるには学校教育とは別の種をまくべきだという問題意識は共通」とおっしゃっています。
「失敗学」で知られる畑村洋太郎氏(東大名誉教授)は、価値創造につながる失敗は良い失敗であり、その欠如が日本の行き詰まりの根底と指摘されています。総合科学技術・イノベーション会議は、同調圧力と正解主義は価値を創造したり、イノベーションを創出したりする際には弊害とし、学校教育における正解主義の反省の弁を述べています。生成AIに代表されるデジタル世代にとって変化への対応が急務。長年の鈍い学校教育に根づく課題を直視し、突破口を開くのが我々の役目だと思います。