校長ブログ

外国人1割の時代

2023.09.06 グローバル教育
9月6

 この40年余りで、日本在住の外国人は人口の1割を超えるそうです。数字上では現在の4倍、欧米並みになるとか...。現役世代で言えば、25年後には今の4倍になり、学校や職場では日本語だけでなく、多様な言語が話されている状況になることが見込まれています。日本生まれが前提の社会からの変容とも言えます。

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 この予想は国立社会保障・人口問題研究所。将来推計人口によると、時期は2067年です。しかし、1564歳の生産年齢人口で見ると、2048年に早まることも想定されています。実際、推計を上回るペースの入国が続いており、前倒しになる可能性もあるということです。

 同研究所は2015年の国勢調査を基に推計していますが、当時の外国籍住民は約178万人であり、「移民的背景を持つ人」にまで広げると倍の約333万人に増えるとのこと。2100年には外国人が15%と推計されているものの、外国ルーツを合わせると約3割を占めることになると考えられています。

 そうなれば、日本社会が変容するのは必至。当然、学校文化も変わります。すでに、人手不足の日本企業は海外から人材を求めており、それは自然の成り行きとも言えます。企業によっては、日本語ができなくても英語ができれば可とし、ミーティングでは外国籍の方が1人でもいれば英語を使うところも出てきているほどです。さらに、英語力が一定水準に達すれば年に給料に上乗せするところまであるとのこと。グローバル化の波は予想以上です。

 一方、少子化と移民の流入増が続いた欧米各国にも変化が見られます。ドイツでは2000年、移民が10%を超え、4年後に成立した「移民法」で積極的な受け入れを行なっています。また、ドイツ語を600時間も学べる講座を提供し、文化や社会の理解を深めるためのオリエンテーションも開講しています。

 人口減が進む日本では、海外から人材を呼び込むために、期間に上限を設けず、長期就労を可能にすることによって定住・永住する外国人の数を増やそうとしています。また、一定水準の日本語のスキルを上達させることができるように、学習機会を提供するなどの試みも行われています。生成AIの発達で、携帯翻訳機など、さらなるコミュニケーション・ツールの進展が見込まれます。

 歴史をひもとくと、英国は、2000年代後半に移民が10%を突破し、反移民感情が高まり、EU離脱の要因になりました。米国ではトランプ前政権が反移民政策をとりました。結果、欧米では移民が独自にコミュニティーを形成し、受け入れ側との断絶が社会問題化したのは記憶に新しいところです。今こそ、多言語社会の国々から学び、創意工夫が不可欠なのです。