校長ブログ
チャットGPTの活用
2023.09.07
EdTech教育
9月7日
教育関連企業がチャットGPTを活用した学習方略を模索しています。文科省は、学校での活用指針として英会話の相手として活用するものの、詩や俳句など創作の場面での安易な使用は不適切としています。確かに、生成AIは学習の効率性を高める可能性がある一方、正確性や倫理面での懸念も強いのもまた事実。リスク管理にも留意しながら、民間が先行し、研究開発しているのです。
例えば、東進ハイスクールを運営するナガセは英語ライティングの添削、ベネッセが自由研究支援といった具合です。チャットGPTを活用し、英語の添削機能を開発する前者は、秋を目処に高校生向けのクラスで導入する予定だとか。これは生徒が書いた英語における単語や文法の間違いをAIが指摘、適切な表現の言い換えるというもの。これまでのライティングの学習では、自分が書いた英文が正しいかどうかは英語が「達者」な人にチェックしてもらうしか方法はなかったわけですが、チャットGPTが添削してくれるため、学習の質も量もより高められるということになります。後者は自由研究のテーマ設定や進め方をサポートするサービスをスタートさせ、質問すると、対話を通じて助言する仕組みを作り、進路指導にも応用する見込みだそうです。
また、学研HDは、メタバース(仮想空間)上で過去に取り組んだ問題数や正答数をエビデンスとして生徒に示すために、激励するメッセージをチャットGPTを使って出す工夫もされています。大手塾にAI教材を提供するメイツは、直営塾で英検対策講座において、生徒がタブレット端末でライティングし、AI添削機能を使うと文法やスペルの間違いを指摘するだけでなく、文脈論理に対応する表現に修正してくれるそうです。そうなると、1人の指導者でより多くの生徒を教えることができるようになるメリットも見出せます。
チャットGPTは作問し、解答を出すだけでなく、解答に至るまでのプロセスを説明してくれるので、自律学習に習熟すれかなりの効果が期待できます。同時に、暗記や計算といった学習の指導はAIに代替させることも可能になるわけです。その意味で、教育関連企業が学力向上に向けた様々なサービス展開に向けて切磋琢磨しています。他方、生成AIには教育の質を高める一方、負の要因を与える危険性もあるとも言われています。米国では、チャットGPTへの関心の高まりが顧客獲得の障害になるとして、オンライン教育を手掛ける企業の株価が40%以上下落した例もあったそうです。
いずれにせよ、答案に対して必要なことを解説してくれるため、模範解答以上に参考になる反面、抽象的になってしまうこともあり、かみ砕いて説明してくれる教師の存在が不可欠なのです。