校長ブログ

AI時代のそろばん

2023.09.27 トレンド情報

9月27

 昭和の時代、人気のあった習い事がそろばんですが、近年、人気が復活しているようです。学研教育総合研究所の調査(2022)によると、2年連続で増加、サッカー・フットサル(6.0%)を上回り、小学生の6.4%が通っているとのこと。教室によっては5,000人を超えるところもあり、10年で1.5倍、年代層は大人にまで広がっています。

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 そろばんの起源は、約4000年前、古代メソポタミアで砂の上に線を引き、小石を並べて計算したのが始まりとされています。エジプト、ギリシャ、ローマでも同じような道具が使われ、後に中国に伝わって現在のそろばんに近いかたちになり、世界100カ国・地域以上に広がったそうです。STEM(科学、技術、工学、数学)教育が注目され始める中、そろばんのような数字の捉え方がデジタル人材の育成につながるという評価もあります。

 日本では、江戸時代に寺子屋で「読み書きそろばん」として定着しました。1935年には小学校で必須となり、そろばん人口は拡大していきますが、手のひらサイズの電卓「カシオミニ」が販売されるようになってから存在感が薄れていきます。高校生を対象とした「そろばん甲子園」も参加者が減少し、なくなりました。

 しかし、トレンドが変わり、そろばんが集中力やイメージ力を磨く脳トレに有益として、見直され、生徒数が増加しています。例えば、京都市で開かれた全国珠算教育連盟が大会には673歳の約600人が参加したそうです。最近ではデジタルと融合させる取り組みも生まれるなど、新たな価値が生み出されています。

 生成AIの登場は、便利な反面、答えに至った理由がわかりにくいなどの課題もあります。機械ばかりに依存せずにどうやって解を見つける力を育成するかが教育現場の課題です。模索を続けたいと思います。