校長ブログ
起業家育成の壁
2023.08.25
トレンド情報
8月25日
日本では、技術革新につながる外国人の起業マインドを十分に生かしきれていないようです。理由は在留資格の壁が高いこと。OECD(経済協力開発機構)の魅力度評価では24カ国中21位と低迷しています。米国などでは、移民が創業した企業が経済を活性化してますが、日本はなかなか厳しいのが現実です。
例えば、海外から日本の大学に留学して、起業する方がいます。ただし、週28時間以内しか働けないという在留資格制度における就労制限があるのもまた事実。企業経営の場合、「日本に居住する常勤職員が2人以上か資本金が500万円以上」「独立した事業所の確保」などが求められるため、実績や資金力が乏しいとハードルが高くなってしまうのです。
日本は他国に比べ、スタートアップ企業の育成が優れているとは言い難いところがあります。米国のある調査会社の国際比較(2022.7)では、価値が10億ドル以上の未上場企業(ユニコーン)が米国633社、中国173社であるのに対し、日本は6社だけ。内閣官房の資料によれば、職業選択において、起業を望ましいと考える人は中国79%、米国68%に対し、日本は25%です。背景には資金調達の難しさと起業意欲の乏しさが横たわっています。
国は昨年、スタートアップ育成5カ年計画を策定し、起業家育成を打ち出しました。経産省によれば、大学発スタートアップは前年より470社以上増え、3,700社を超え、増加数は過去最多。一方、外国人の起業環境をめぐる国際比較(OECD)では、日本は24カ国中21位であり、在留資格認定の厳しさや家族の就労条件が厳しい状況が浮き彫りになっています。
政府は起業を促すために、在留資格の緩和を進めており、国内大学を卒業後に起業をめざす留学生に最長2年間、在留資格「特定活動」を認める制度を設けています。経産省が創設した優遇策「外国人起業活動促進事業」(スタートアップビザ)もあります。これは自治体が可能性があると判断した場合、最長1年滞在できるもの。実際、10道府県・市区で起業したのは4年間で51件であり、そのうち7割以上が東京都渋谷区と福岡市、大阪市に集中するようです。今後、起業や副業をより柔軟に認める施策に注目しておきたいものです。