校長ブログ
IT後進国を救うには...
2023.08.26
トレンド情報
8月26日
日本のIT技術者に占める女性の割合は10年間で7ポイント上昇して22%となり、欧米並になりました。(情報サービス産業協会、2021)男女の賃金格差の問題は金融や製造業ほどではなく、在宅勤務が定着したこともあり、異業種からの転職者も10倍以上。女性がデジタル競争力を引き上げる原動力になることが期待されています。
日本ではIT技術者が不足する中、その方面を志す女性が増えています。リクルートによれば、異業種から転職した女性は11倍(2013~2022)とのこと。IT技術者にはプログラマーやシステムエンジニアなどが含まれますが、他国と比較すると、米国22%、EU19%と同水準であるものの、10年間で見ると、米国は4ポイント減少、EUは2ポイント上昇と推移しています。一方、日本は7ポイント増加しての22%ですから成長していると見なせます。
大きく増加したのは、クラウドサービスやビッグデータの分析などの進展が見られた2016年。「DXレポート」(経産省2018)によれば、企業にDXの加速を促し、テック人材の需要が高まった結果、システムの老朽化などで2025年以降に最大年12兆円の損失が見込まれると指摘されています。
女性がテック人材を目指す要因として、待遇面で能力が給与に直接反映されやすい点、働き方の自由度が高く、育児などをしながらでも働けるという点などが挙げられます。ちなみに、厚労働の調査(2022)では、男性の一般社員の給与を1としたとき、IT産業の女性は0.83であ金融保険や製造業より差が小さいそうです。
日本は「デジタル後進国」と言われています。スイスのIMDによると2022年の日本のデジタル競争力は、技術者不足のために63カ国・地域のうち29位で最下位。欧米では、大学で情報工学を学んだ者がIT技術者に採用されるのがふつうですが、日本では専門に関わらず、入社後に経験を積ませるやり方が多いのが現状です。ヒューマンリソシアの調査(2022)によれば、ITを専攻した大卒者に占める女性比率は9%であり、欧米と韓国と比べると低水準。現状を鑑みたとき、ITの専門知識を学ぶ教育基盤を強化すること、同時に、人財確保に向けて女性の働き手を増やすこと、つまり、「質」と「量」の両面が喫緊の課題と言えるのです。