校長ブログ

DX化に向けた大学の動き

2023.08.08 大学進学研究
8月8日

 過度な人口流入を抑えて地方創生につなぐことをねらいとし、東京23区内には、大学の学部新設や定員増を認めないという規制があります。しかし、DX化を担うAIやデータサイエンスの専門家の育成に向けて、来年から23区にある大学がデジタル系学部・学科のみ定員を増やせる方向性にあるそうです。

DSC09844.JPG

 区内にある大学学部の入学定員は全国の約2割を占める約12万人。東京に集中することを避けるため、これまでは区内で定員増が認められていませんでした。今回は、流出を危惧する自治体や地方大への影響に配慮し、定員を7年後に元に戻すこと、インターンシップ等を活用して地方での就職促進に取り組むこと等の付帯条件もクリアしなければならないものの、デジタル分野に限り特例で認めることになり、学部がさらに増設する見込みだとか...。

 国内での情報技術の市場規模は平均で4%伸び、2027年には25兆円近くになると考えられています。また、デジタル人材は2030年には80万人近くが不足し、結果、需給ギャップが広がることが想定されています。

 当然、学部新設となれば、スタッフをリクルーティングしなければなりません。現在、約6割に及ぶ大学がAIやデータサイエンスのスタッフ不足を指摘しており、専門性のある教員確保の必要性が求められています。文科省は成長する分野を予測し、複数の大学を兼任できる制度を導入するだけでなく、産官学連携を通じて、実務経験のある指導者を受け入れる政策を講じています。

 米国ではデータサイエンスに不可欠な経営統計学の修士号取得者が10年間で大幅に増加しているにもかかわらず、日本ではまだまだとのこと。政府の「AI戦略」では、エキスパート人材を年間で2000人輩出する計画が掲げられ、デジタル分野の大学院の拡充に進められています。ちなみに、情報系の修士課程は、国公私立を問わず、全体の約2割が23区。学部・学科の拡大を契機に、学生数が増える分、修士・博士課程の活性化も期待できるのです。