校長ブログ
フェイクニュース
2023.07.10
トレンド情報
7月10日
物事の是非を判断するには、山ほどある情報の中からいかに正しいものを取捨選択するかにかかっています。その意味で、日本はフェイクニュース(偽ニュース)に対する備えが乏しいと言われています。
生成AIの普及により、ネット上には本物と見分けがつかない画像が溢れかえっています。しかし、その真偽を確認するファクトチェックを知る人の割合はアジア主要国で最下位とのこと。
例をあげれば、米国では国防総省で爆発が起きたというデマが流され、株価が急落しました。ベネズエラでは実在しないAIキャスターが大統領選を前に貧困を隠蔽するために、数百万人が休暇中に旅行に出かけたというフェイクニュースを流したことが伝えられました。日本では、静岡県の豪雨になると街が水没するというフェイクニュースが出回りました。監視体制の整備がいかに重要かということを思い知らされる事例です。
シンガポールの南洋理工大学と日経の調査(対象はアジア10カ国・地域の約7,000人)によれば、事実の真偽を検証するファクトチェックサイトを知っている割合は日本は19%だけであり、トップのベトナム(81%)の4分の1以下。デューク大学(米)によると、日本の関連サイトは5つしかなく、米国の78サイトと比べると極端に少ないことが指摘されています。
新聞はじめメディアが強い影響力をもつ日本と比べ、アジアの人々がメディアに依存しないのは、政治によって情報が統制されているという見方があるようです。フィリピンやシンガポールでは、中国語や英語のフェイクニュースが流入しているため、リスク管理が進み、チェックサイトなどの利用が進んでいます。ベトナムは政府がフェイクニュースを判断・公表し、インドネシアのチェック団体は累計1万件を超えるフェイクニュースを公表しています。
日本では、フェイクニュースが「増えた」と31%が回答し、「減った」(4%)を大幅に上回っており、コロナ禍が28%で最多、ロシアのウクライナ侵攻などの危機下での国際情勢が17%となっています。
フェイクニュースは、平和な国づくりには脅威となります。米国は国土安全保障省が監視する体制を整え、日本は外務省がAIでフェイクニュースを分析するシステムを構築する予定だとか...。DX化が進む昨今、信頼できる情報を提供する手段やインフラ整備が急務であることは言うまでもないことです。