校長ブログ
生きた教材
2023.07.07
トレンド情報
7月7日
ゴミを再生し、新しい素材に変える注目すべき取り組みが進められています。それを担うのが東京大学発のファーブラというベンチャー企業。創業者の町田紘太さんは、体にハンディのある人や妊婦らを手助けする団体を作るだけでなく、国連のパネルディスカッションに招待されるなど、社会課題の解決に貢献されている方。今、自然由来の「食べられる家」づくりをめざされています。
ファーブラという名前は、ラテン語で「物語」を意味するfabulaからつけられたもので、廃棄物から新たな価値を生み出し、無限に広がる物語をつくりたいという思いが込められているそうです。
町田さんが環境問題に関心を持ったのは、小学校時代に親の仕事の関係で、オランダで暮らした3年の経験値によるところが大きいようです。帰国後の小学校時代の同級生が現在の会社の仲間になっているそうです。開成高校から東京大に進学され、文科1類から工学部の社会基盤学科に転部。大学での恩師との出会いが転機となり、社会課題の解決に興味・関心をもたれます。
卒業研究では食品廃棄物だけで新素材や建設資材をつくる処理方法を開発し、それが原材料の色や香りが残る「食べられるコンクリート」として知られるようになリます。その後、起業、「100%食品廃棄物から作る新素材」という特許技術をもと、みかんの皮から作ったコースターや緑茶由来の皿などを制作、販売に至っています。
仕事への取り組み方も自宅で残った野菜などを会社に持ち込み研究材料にするなど、経費削減にも工夫を凝らし、事業の売り上げだけで会社を維持されています。10年かかって大学を卒業し、ストレスマネジメントにも習熟した今、量産を目途にファンドとの協業も視野に入れられています。
食べられるにもかかわらず、ゴミとなる食品ロス、そして、野菜や果物の皮、肉や魚の骨など食用にできない不可食部を足した食品廃棄物は全体の3割になるとも言われ、付加価値をつけて活用する方法が求められています。その意味で、町田さんたちの取り組みが社会貢献だけでなく、生きた教材でして学ぶべき点があることは紛れもない事実です。