校長ブログ

ひょうごフィールドパビリオン

2023.05.12 トレンド情報
5月12

 兵庫県が2025年に開催される大阪・関西万博(国際博覧会)の誘客強化策として、「ひょうごフィールドパビリオン」という113のプログラムをもつ体験型観光事業を認定しました。多様性に富んだ魅力をアピールし、観光客を県内に呼び込み、地場産業の振興をはかることをねらいとしています。

DSC08879.JPG

 万博会場のように新たに建物を設けず、地元の事業者や住民が自然や文化、地場産業などを中心にプログラムをつくるのが特徴。県内各地をパビリオンに見立て、観光客を誘致する体験型観光プログラムを提供するフィールドパビリオンとなっています。

 例えば、瀬戸内海に浮かぶ坊勢(ぼうぜ)島。姫路市に位置しますが、人口は約2,000人、約1時間の徒歩で一周できる大きさです。県で有数の漁獲量を誇るというメリットを活かし、漁業協同組合が中心となって漁業見学ツアーを行っています。本州側にある妻鹿漁港から船で、30分程かけて漁場に向かい、そこで網の巻き上げを見学した後、取れたての魚の刺し身を味わい、島に上陸して散策するというプログラムです。全国から見学ツアーに来れば、漁師の所得増加につながるメリットもあります。その他、西脇市の地場産業である「播州織」の製造工程の体験など、興味深いプログラムが顔を揃えています。

 プログラムには、企業や観光協会などから120件の応募があったそうです。選考のポイントは地域に根差したストーリー性や事業継続性であり、最終的には113件を認定されたとのこと。特筆すべきはプログラムに「学び」の要素が組み込まれている点。坊勢の漁業見学ツアーでは、環境の変化が海洋生物に与えた影響や海洋保全活動についても学習できる内容になっており、グローバルな視点から様々な諸課題をどう解決するかという探究学習の要素も盛り込まれています。

 フィールドパビリオンが観光に結びつく可能性が期待されています。観光庁の調査によると、県へのインバウンド旅行者数はコロナ禍以前は全国11位でしたが、消費単価が41位にとどまっており、今、外国人1人あたりの消費単価を3万円から6万円に倍増させることが目標設定されています。その意味で、体験型コンテンツを増加させて、周遊先を広げ、滞在日数の増加させるような取り組みが必要です。

 しかし、補助金などはないため、既存の設備や取り組みを活用することになります。新企画には目新しさが不可欠。見せ方も必要です。県はすでにインバウンドを視野に入れて、コンテンツづくりためのアドバイザーを派遣したり、旅行会社にコンテンツをPRし、ツアーにフィールドパビリオンのプログラムを組み込むよう働きかけるなど、積極的な支援を始めています。