校長ブログ

海外の取り組みに学ぶ②ー韓国

2023.03.28 グローバル教育
3月28日

 政府は、教育の国際化、グローバル人材の育成などの教育政策を掲げ、学生の海外派遣や有望な留学生の受け入れを進めることを強調しています。今回は小学校で基礎学力の育成に重きを置き、留学は日本の3倍という韓国について。

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 韓国では、難易度が高い大学に入り、財閥系の大企業に就職する競争が加熱しているため、入試が激化しているそうです。そうなれば、海外で学び、グローバル人材として外資系企業をめざす道にも目が向いてくるのは当然です。

 小学生から高校生の留学生は2019年で8,961人。ピーク時の2005~08年は2万人を超えていたそうです。母親が留学について行き、仕送りする父親はキロギ・アッパ(渡り鳥の父)と呼ばれたとか...。海外の大学(院)への留学は213000人(2019)であり、日本の61989人(文科省)と比べると3倍となっています。

 小学34年の英語の時間数は年間で68時間であり、日本の35時間の約倍。56年の102時間も日本の70時間より多くなっており、合計すると130時間もの差が生じています。韓国語は日本語と語順も近く、漢字文化であることが共通ですが、TOEICの平均点は679点(2021)であり、日本より100点ほど高くなっています。

 小学校の英語を必修にしたのが日本より20年以上早い1997年。当時、文民政権を発足した金泳三(キム・ヨンサム)大統領は国際化を前面に打ち出しました。2008年に発足した李明博(イ・ミョンバク)大統領は、国際人材の育成を目途に、教育内容を自由に構築できる「自律型私立高」を増やしました。一方、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、富裕層が過度に有利になるのを避ける政策をとり、自律型私立高などのエリート校を廃止しています。現在の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、教育について、平等性より選択の自由を尊重するとし、昨年、地方に私立高を設け、地域振興政策の核心に位置づける構想を明らかにしています。

 韓国には、過度な教育熱が少子化の原因の一つになっているとする見方があり、これまでの政策が成功であったかどうかについては賛否が別れるところです。しかし、質や量の点で参考にすべき点があるのもまた事実。かつて、日本では英米語というよりは国際共通語としての言語習得について、衆議院議員であった平泉渉氏と渡部昇一氏(上智大学名誉教授)の『英語教育大論争』(文芸春秋)がありました。日本人の英語力が国際的に低い実態を鑑みたとき、まだまだ検証と実践が必要です。