校長ブログ

小学生の全国大会

2023.03.15 トレンド情報
3月15

 日本スポーツ協会(JSPO)は、軟式野球、サッカー、バレーボール、ホッケー、剣道の5競技の全国大会中止を検討しています。背景にあるのは行き過ぎた勝利至上主義。今後、さらに話し合いを進め、最終的には2024年春までに方向性を決めるそうです。

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 実際、R&Bラグビークラブ(東京)では、保護者のサポートはかかせないとしつつ、過度な関わりや期待は子供の心身の成長に悪影響を及ぼしかねないとし、「叱らない」「問いかける」などの指導方針を掲げています。全日本柔道連盟のように、全国小学生学年別柔道大会の廃止を発表したところもあります。

 JSPOが実施したアンケート調査では、全国大会が必要と回答した団体は76.9%、保護者や指導者が58.3%。また、47都道府県のスポーツ少年団の25.5%が必要と答えているの対し、保護者と指導者は半数を超えています。大会のあり方については、楽しめるものにした方がよいと考える保護者と指導者は約3割、負担を軽減できるルールを導入した方がよいと考えているのが約2割です。

 スポーツをする上で、勝利を目標に努力することは貴重な経験になるのは言うまでもありませんが、大切なのは主役である子供にどれだけ寄り添ったか。子供の成長に弊害が見受けられるのなら、改善するのは当然です。確かに競技団体の中には勝つことのみに重きを置き、五輪でメダルをめざすような才能ある子供を見つけるために、一部、全国大会を活用するケースがあるかもしれません。しかし、だからといって小学生の全国大会が必要ない、スポーツの本質をゆがめてしまうて言い切ることができるのかどうかは疑問です。

 臨床心理士の藤後悦子氏(東京未来大学教授)は、保護者の過熱が子どもの成長に弊害を可能性を示唆、子供のスポーツに取り組む自主性を重んじ、成長に合わせたスタンスの必要性を述べられています。笹川スポーツ財団の調査(2021)によれば、「指導者や(他の)保護者の送迎をする」(66.7%)、「活動場所の手配や予約をする」(54.7%)など、保護者の負担感も浮き彫りになっています。さらなる精査が求められますが、専門家や識者の知見を待ちたいと思います。