校長ブログ
チャイルドレス
2023.03.02
トレンド情報
3月2日
生涯にわたり子供を持たない人が増えています。人口学では、50歳の女性で子供がいない場合をチャイルドレス(生涯無子)と言うそうです。OECD(経済協力開発機構)によると、1970年に生まれた女性の50歳時点での無子率を比べると、日本は27%と先進国で最も高いとのこと。1965年生まれでも日本(22.1%)が最も高く、英国、米国などを上回っています。
国立社会保障・人口問題研究所は、2000年生まれの女性の31.6〜39.2%が子供を持たないと推計していますが、未婚率の高さを考えると、それよりさらに高くなる可能性があります。結婚観については、「結婚した方が良い」とする20〜30代は半数を切り、30代の女性の「そう思う」が9%。男女とも最多は「若年層の収入・賃金が低い」で6割超。「仕事のキャリアに影響する」と答えた女性が21.4%に対し、男性は9.4%です。また、「出会いがない、機会が少ない」が全体の4割超、特に20代、30代の女性は5割を超えています。
歴史的に見れば、男女雇用機会均等法が施行されたのが1986年。無子率が高い1965年~70年生まれは均等法の第一世代です。確かに、働く女性は増えましたが、両立支援は進まず、退職して出産する、もしくは子供を持たず働くかの選択を迫られ、結果、少子化につながったのは周知の通りです。
少子化の影響を受けて、今や、世界の人口拡大が終焉をむかえつつあります。特に日本の場合、世界を大きく上回るペース。20~60代の男女1,000人を対象にした日経の調査では、育児に関して、家計に余裕がないと答えた人が7割を超えているとのこと。育児の負担軽減や若年層の所得増など、安心して結婚、出産、育児に取り組める環境づくりが急務となっています。ベビーシッターや家事代行が一般的な海外の事例も参考になります。
結婚や出産が減っている理由としては、経済的理由が多くなっています。結婚減の理由としては、50~60代の独身女性の4割超が親との生活に満足していると答えており、年代を問わず今のままでよいと考える人が多くなっているのが特徴です。
日本は少子高齢化に伴う働き手不足が深刻で、政府は外国人労働者の受け入れ拡大を進めています。人口減の中、インドやフィリピンなど、英語が堪能な人材流出が起こっていますが、日本の成長戦略が少子化の改善につながることを示唆する事例です。