校長ブログ
日本の教育事情①
2023.02.24
トレンド情報
2月24日
文科省によれば、年30日以上登校しない小中学生は過去最多の24万人(2021)に達し、約10年でほぼ倍増したとのこと。不登校の急増は、これまでの一斉授業を通じた学校文化からの変容を意味します。
不登校の児童生徒の学びの充実を図る教育機会確保法が成立したのが2016年。さらに、コロナ禍も重なり、登校を基本にしながらも個別最適な学びに向かっています。しかし、欧米ほどホームスクーリングへの支援体制が整っているわけではありません。実態として、学びの保障が経済力に左右されることや学校やフリースクールなどとの接点にも課題が残されています。学びの継続が自己責任になっている現状を鑑みると、個別最適化に向けて、デジタル技術の活用と教員の指導力向上が不可欠です。
発達障害者支援法(2005)は、子供への教育的支援を求めていますが、文科省の調査では、発達障害の可能性がある小中学生8.8%(35人学級に3人)が発達障害の可能性があるものの、約4割が授業中の座席配慮や支援を受けておらず、また、特別支援教育の専門家から定期的に助言してもらっている小中学校が約15%という現状からも情報共有の不十分さが浮き彫りなっています。
その一助になるのがデジタル教科書。漢字に読み仮名をふったり、音声で読み上げたりする機能があり、読み書きが得意でない子供の理解を促進する効果が期待されています。授業で扱う文章をデジタル端末上で目立たせたところ、発達障害がある子供の集中力が向上し、直線のゆがみが強く気になる子供は端末上で直線を引く機能を使うなど、個別最適な活用法が見られたことは特記事項です。
障害に関係なく、同じ学級で学ぶ仕組みはインクルーシブ教育と呼ばれ、相互理解を深める効果があるとされ、今や世界の潮流となっています。米国は連邦法で、障害があっても可能な限り、インクルーシブ教育を推進、支援が必要な子供の9割以上が通常学級に在籍しており、特別な支援を週に何時間受けるかといった個別最適な学びを融合しています。フィンランドは、特別な支援を受ける子供の6割超が通常学級で学んでいます。
日本は明治維新から高度経済成長期まで工業化が社会課題であり、マニュアルに従った仕事をする均質な人材が必要とされたため、学校では画一的な教育が求められてきました。しかし、デジタル社会を迎えた今、必要なのはイノベーションを起こせる人材であり、それに伴い、個別最適な学びと協働的な学びを盛り込んだ学校教育を展開しなければならないのです。