校長ブログ
国際数学オリンピック
2023.02.22
教科研究
2月22日
今年の7月、国際数学オリンピック2023が日本で開催されます。予選では例年、5千人近い応募があり、その中から6人が選ばれるという狭き門。その歴史は1959年に始まり、64回目を数える今回は20年ぶりに日本で開催されるとのこと。大会を契機に、数学に加えて、日本に対する興味・関心も高めてほしいものです。
数学オリンピックの問題は学校の教科書に出てくるような問題ではありません。たいていの場合、「組み合わせ論」と呼ばれるもので、公式が通用しない問題、自分の頭で考える問題が出され、3問を4時間半かけて解き、2日続けて合計6問という形式です。まさに探究そのもの。なかには、満点をとる選手もいるとか。ちなみに、2014年、数学のノーベル賞に当たるフィールズ賞を受賞したイランの女性数学者マリアム・ミルザハニも高校生の時に満点をとられたそうです。
数学と言えば、日本では、女性研究者の割合が低さが目立ちます。数学オリンピック財団理事の石井志保子氏(東京大学特任教授)は、数学と女子に対する偏見を今こそなくすべきと述べられています。
確かに、日本で数学の博士号を取る女性はわずか6%(2018)しかいませんから、ルーマニア56%、トルコ49%、デンマーク48%、イタリア43%とは対照的です。他の分野では博士後期課程がこの30年間で倍以上になっています。国別に見てみると、米国やロシアなどの先進国だけでなく、発展途上国がかなり健闘しています。その意味で、数学が国境を越え、世界中の若者が交流を深めることは、多文化理解にもつながるはずです。
お金の数論の天才と言われるラマヌジャンは、インドの片田舎に生まれ、大学も卒業せず、独学で数学を勉強し、自分の考えをまとめたところ、ケンブリッジ大のハーディ教授に認められ、その後、立派な業績を残したそうです。今、多くの大学で女子校生に数学の魅力を伝える講座が企画され、ネットワークがつくられています。分野の特性としても、実験や課外活動がほとんどなく、比較的取り組みやすいにもかかわらず、現実的には「開かれた」学問となっていないのはもったいないことです。本校でも数学という学問に興味をもてるような取り組みを行っていきたいと思います。