校長ブログ
新コース立ち上げ特集㊻-リスニング
2023.02.18
グローバル教育
2月18日
リスニングは、連続する音声を入力し、その意味を理解するとともに、自ら思考、判断する認知作業と言えます。
Brownはリスニングには8つの段階が含まれるとしています。第1段階は、スピーチを聴いて、そのイメージを短期記憶にとどめること。つまり、自己の言語知識や背景知識を活用して、句、節、イントネーション、強勢(stress)などの音声の構成要素を意味のある単位として捉え、シラブル(syllable:連続する音を区切る分節単位の一種)の境界を決定、語を特定するところからがスタートラインというわけです。
第2段階では、スピーチのタイプを決定し、知覚したメッセージに特定の解釈を加え、第3段階では、文脈(context)を読み取り、メッセージの目的を推測、第4段階では、スキーマ(校長ブログ2022.7.2)を活性化させ、メッセージに適切な解釈を施すといった手順。
第5段階では、入力された音のつながりに意味を与えます。大半の場合、文字通りに意味を与えても話し手の意図した内容と一致するものですが、そうでない場合は「行間」を読み取り、第6段階では、発話(utterance)に意図された意味を与え、話者の内面理解に向けた正確な解釈を行います。
その上で、情報を短期記憶(short-term memory)か長期記憶(long-term memory)のどちらに保存するかを決めるのが第7段階、そして、メッセージの原型を消去し、重要な情報のポイントだけを保存するというのが第8段階です。
リスニングにおける正確な音声入力を進める上で、ボトム・アップ処理(聞いている音、読んでいる文の構成を分析し、その特徴から認識を成立させること)とスキーマを活用して理解を進めるトップダウン処理(すでに持っている知識や経験を活性して新情報の処理に役立てること)の相互作用の重要性が指摘されて久しくなりますが、本校においても授業の中でそのような点を意識して指導しています。
リスニング力を上達させるには、単語やイディオムを知っているだけでは正確な「聴き取り」はできません。また、カンのよさだけでなんとかなるというものでもありません。英語は単語が横一列に並べられた構造になっていますが、単なる単語の集合体ではなく、一定の規則に基づく構造となっています。まずは、文レベルの構造が認識できるようになること。それが引いては長い文章理解にもつながっていくのです。