校長ブログ

異常気象の原因

2023.01.20 トレンド情報
1月20日

 科学技術の進歩によって、温暖化が異常気象を引き起こしていることが証明されました。WMO(世界気象機関)の事務局長・ペッテリ・ターラス氏の「異常気象がもはや新しい平常」という言葉にすべてが凝縮されています。

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 世界を見渡すと、例えば、南米では干ばつで農業が打撃を受け、水不足で水力発電システムが機能停止、代替として化石燃料を輸入しています。このような深刻な問題がいろいろな場所で起きているのです。

 WMOは、2015年から2022年が観測史上、最も気温が高くなると想定、世界の海面上昇幅が過去最高になると発表しました。背景には、コンピュータによる計算速度が劇的に進化し、地球が温暖化「している場合」と「していない場合」を再現できるようになり、結果として、異常気象が原因で温暖化が起こりやすくなることが明らかになったという研究成果があります。

 かつて、熱波や豪雨が発生しても科学的根拠がなく、人為的な温暖化が原因なのか、偶然かはわかりませんでした。しかし、今では、洪水や熱波が気候変動で被害がどれほど拡大したのか、また、経済や人命、生活にどのような影響があったのかがわかるようになったのです。例示すれば、日本は、気象庁が6月下旬~7月初めに観測した記録的な猛暑が温暖化によって発生確率が240倍に高まっていたと発表しています。英国は、最高気温40度超を観測した熱波は温暖化で少なくとも10倍起こりやすくなっていたと分析しています。

 エジプトで開催されたCOP27(第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議)では、化石燃料の扱いや途上国への支援のあり方について、欧州やインドは化石燃料の段階的削減、中国はさらなる支援など、国によって考え方に温度差があります。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻で引き起こされたエネルギー危機など、複雑な様相を呈しています。しかし、気候変動の脅威に取り組む方向性は合意形成され、地球の気温上昇を1.5度以内に抑えるパリ協定の順守も改めて成果文書に盛り込まれています。今こそ、科学が示す事実を直視することで温暖化対策の一歩を踏み出すことが求められているのです。