校長ブログ
日本語教育
2023.01.25
グローバル教育
1月25日
外国人労働者やその家族などへの日本語教育について、文化庁は、自治体の指針となる報告書をまとめています。
現状課題として、学べる時間が限られていること、中級程度の日本語の習熟度が十分でないこと、専門的に教える人材や運営費が十分でないこと等があげられます。同庁の文化審議会国語分科会は、自治体の指針となる報告書をまとめ、中級程度の日本語の習熟を目標に1~2年のコースで体系的に教えることを盛り込みました。
自治体が外国人労働者やその家族らを対象にした日本語教室等は、全国に約13,000カ所あり、約48,000人が学んでいるそうです。それだけ、外国人の定住化が進み、子育てや就労に必要な日本語が求められているのです。
同庁は、日本語の習熟度を6段階で示した指標「日本語教育の参照枠」で中級程度のB1以上を掲げています。B1は「仕事、学校、娯楽で普段出合うような身近な話題について主要点を理解できる」レベルであり、350~520時間の学習が必要とされています。
教師は専門的な教育を受けた人材とし、研修は1コマ45分で90コマ程度が目安。また、日本語学校と連携して人材を確保するだけでなく、大学などと連携して育成に努めることを促しています。
日本語教育は、教室の運営は市区町村、研修は都道府県、財政支援は国といったように役割分担が明確にされています。また、外国人を雇用する企業は会社自身で学習環境を整備する、もしくは日本語教室に通えるよう時間を調整することが求められています。
人材や予算確保の点で懸念している自治体もあることは事実。その意味で国が取り組まなけれはならない問題になっているのです。実際、日本語教師は大都市に集中しており、その報酬だけでは人材確保が難しいのが現実です。
文化庁によれば、全国の約1,900市区町村のうち、教室がない「空白地域」は4割を超えています。その中で教室があっても、1~2年のコースがある自治体は一部。松岡洋子氏(岩手大教授)は、自治体の財政が厳しく、教師を雇う余裕がなく、自治体でB1レベルまでの指導を期待するのは難しいと指摘されています。
外国人労働者は170万人を超え、10年で2.5倍。今、入国制限が緩和され、海外からの受け入れは再び拡大しています。来日した外国人にとって、日本語はコミュニケーション・ツールです。時代の趨勢を考えれば、対応がせまられる喫緊の課題であることは疑う余地はありません。なお、文化庁は、外国人留学生が学ぶ日本語学校の教師に資格を義務づけることを報告書案に盛り込み、文科省は教育内容などを評価し、学校を認定する仕組みを設ける方針を示しています。