校長ブログ
金融教育
2023.01.21
教科研究
1月21日
国民全体の金融リテラシーの向上にむけ、金融教育を強化されていく方向性が打ち出されています。ねらいとしては、個人が資産形成を相談できる専門家を身近に見つけられることであり、これは英米にならったものです。
「資産所得倍増プラン(案)」には金融経済教育を見直す内容が盛り込まれています。具体的には、金融経済教育推進機構(仮称)の設立、そして、資産形成支援に関する施策と国家戦略としての基本方針の策定が掲げられています。
新しい機構は、「ファイナンシャル・ウェルビーイングのための英国国家戦略2020~2030」を策定した英国の公共機関「MaPS」を参考にしています。今回の目的は、例えば、投資を始める場合はどうしたらよいのか、どのような金融商品を購入したらよいかなど、無償または少ない手数料で気軽に相談でき、中立的な立場から助言してもらえる仕組みづくりです。
国家資格としては、ファイナンシャルプランナーがありますが、日本には投資助言がありません。また、証券、保険、銀行などの代理業者制度は存在するものの、業者の目線が強く、中立的な立場とは言い難いところがあります。
一方、海外では、中立的な投資助言をできる資格・制度が普及しており、米国のファイナンシャルアドバイザーは顧客の立場に立って資産形成の提案や助言しています。英国のMaPSは、オンラインや電話でも情報提供だけでなく、被害が起きた場合の対応までかなり実務的なサービスを提供しています。
日本では、1990年代から「貯蓄から投資、資産形成へ」のスローガンが掲げられていたにもかかわらず、金融リテラシーは低調でした。個人の現預金は6月末で1,102兆円にのぼると言われています。
金融教育を展開する以上、その成果に向けて、金融リテラシーに関するテキストや先行研究が不可欠です。現場のみならず、金融機関や企業も巻き込んだ産官学の取り組みが安定した仕組みづくりに寄与することは疑う余地がありません。