校長ブログ
新コース立ち上げ特集㊳―グローバル・シティズンシップ
2023.01.07
グローバル教育
1月7日
平和や社会や多様性を尊重する社会づくりに向けて、自国のことだけでなく、国境を越えて存在する地球規模の課題を意識し、主体的に捉え、その解決に向けて行動するグローバル・シティズンシップが求められています。日本語にすると、地球市民意識、地球市民性などと訳されています。
グローバル・シティズンシップについて議論を深めると、内容は国際関係論、社会学、教育学、政治学、経済学などの文系領域だけでなく、理系領域も加えた、まさに学際的なレベルになります。2009年、文科省は国際教育交流委員会にて、小中高大に中でもグローバル化がもたらす諸課題に対する対応を横断的に探究することを提言しています。
2012年からの大学でのグローバル人材育成推進事業に加え、高校では2014年から「スーパーグローバルハイスクール(SGH)事業」を実施したのはよく知られたところです。また、2012年から当時の国連事務総長が中心となって始まった「グローバル・エデュケーション・イニシアチブ」においては、人類という共通項を示すことで、平和な社会・多様性を尊重する社会を作っていくということ、そして、地球規模の課題に取り組める人材を育成し、次世代を意識するグローバル・シチズンシップ教育を普及することが推進されています。
グローバル化の共通した概念を規定することはなかなかできませんが、今や国境を越えて市場が拡大している以上、労働力移動を加速化し、結果として、多文化教育の必要性が生まれるのは当然です。その中で、知識基盤型社会を主体的に生きるための専門分野以外の汎用性のある技能(ジェネリックスキル)や持続可能な発展に向けたグローバル・イシューの取り扱いがグローバル・シティズンシップ教育に結びついていくことになります。
地球的課題を扱う授業ではESD(Education for Sustainable Development:持続可能な開発のための教育)の観点が重要です。ESDについて、UNESCO(2012)は、概念、地域、時間などの様々な側面を統合する統合的レンズ(integrative lens)、既存の行動や思考様式について疑問をもち、検討する批判的レンズ(critical lens)、持続可能な生き方や価値観、コミュニティーを実現しようとする変容的レンズ(transformative lens)、現実と時代の変化に応じた対応を検討する文脈的レンズ(contextual lens)という4つの視点が不可欠と言っています。これらは探究学習にもあてはまります。
地球的課題を扱う言語材料として最適なものの一つがSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)ですが、それぞれの達成目標に向けて、どのように教科横断させ、世界の変革を目指すものにアプローチし、「地球市民」を育てていくかが教師の腕の見せどころ。今年も「チーム学校」のスピリッツで努力していきたいと思います。