校長ブログ

共生に向けて

2023.01.12 グローバル教育
1月12日

 海外から働き手を呼び込み、人手不足を補完する中、言葉の壁を解消しにくいという状況が続いています。日本語教師は大都市に集中してしまい、地方では慢性的な教師不足に陥り、学習環境が整わないといった問題がクローズアップされています。

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 例えば、インドからの技能実習生が増えた山形県新庄市の工業団地。仕事で使う日本語の表現を学ぶ機会が乏しいとの地元企業の声を受け、商工会議所が中心となって日本語教室がスタート。しかし、講師は、約40キロ離れ、片道50分かかる距離を移動し、2時間×10回で指導されているそうです。山形県には日本語教室がない、もしくは行政が存在を把握していない空白地域が7割あるとのこと。実際、外国人労働者が10年で倍増しています。新庄市は、地元NPOが文化庁から支援を受け、新たに日本語教室の開設するそうです。しかし、経験豊富な日本語教師が確保できるかどうかは未知数であり、今のところ、ボランティア対象の研修で指導者を担保しています。

 現在、生活や仕事に迫られて、日本語を上達させたいと考える外国の方が増えているにもかかわらず、教師不足で、充実した指導を受けられる人は限られており、習得の方法も各自に委ねられています。

 在留外国人を対象に実施した調査(サーベイリサーチセンター)によると、回答した約1,000人のうち、8割が日本語を学んでおり、手段としてはインターネットによる独学が4割で最多です。また、出入国在留管理庁によれば、日本語教室の料金の高さ(15%)に続き、無料の日本語教室が近くにないことや都合のよい時間に利用できる日本語教室・語学学校がないことがそれぞれ12%となっています。

 考えられうる対策は、オンラインによる同期・非同期型学習。神吉宇一氏(武蔵野大学准教授)は、オンライン学習の場合、学びやすいと言われるものの、対面のように授業後に雑談したり、いろいろな事を相談したりするのは難しいので、対面との組み合わせが望ましいとされています。