校長ブログ
新コース立ち上げ特集㊲ーエラー分析と中間言語
2022.12.31
グローバル教育
12月31日
英語コミュニケーションの中で、エラー分析(Error analysis)と言えば、首尾一貫したもの、言語間の違いによるもの、目標言語の中のものなど、様々な状況があります。
エラーとは、生徒自身が学んだ文法が目標とする言語の文法と異なる時に見られる現象。つまり、到達度を示す鏡とも言えます。誤りを分析・研究することは学習ストラテジーに直結します。
首尾一貫したものとは、誤りを訂正されても適切に修正できない場合、また、その場で誤りを修正してもまた同じ誤りを繰り返してしまう場合のこと。生徒は日々の学習体験の中で、自分なりの体系を作ってしまうため、指摘されてもすぐには修正しにくくなりがちです。言語間の違いによるものとは、母語の干渉が最たるもので、生徒の文法力の裏返しとも言えます。
しかし、日頃から目標言語に接する機会が少ないために生じる言語内エラー(intra-lingual error)と言われるものが大半を占めます。例えば、不規則動詞を規則動詞と取り違える、語法を類似するものに置き換えるなど、規則を一般化(Over-generalization)してしまうこと、動詞の活用や名詞形を簡略化するなど、最小化してしまうこと(Simplification)、母語の干渉によって不適切な言い方にしてしまうこと(Developmental errors)、適切な語彙を知らずに別の表現法に言い換えてしまうこと(Errors of avoidance)、正確に使われてはいるものの、異常に頻度が高いこと(Errors of overproduction)などが指摘されています。
Selinkerは、目標言語でも母語でもない生徒が使う言語を両者の中間に位置するという意味で、中間言語(interlanguage)と位置づけています。これは目標言語を修得していく過程は発達段階と多くの類似性があるという発想。つまり人が外国語を学んでいくプロセスは決まっており、生来的なものとするという考え方です。中間言語の研究は指導法や教材作成を科学的なものにする契機となりました。
有名なのが関係代名詞の習得の順序を示した研究です。先行詞が目的語で、関係代名詞が主格(OS)が最もマスターしやすく、先行詞が目的語で、関係代名詞が目的格(OO)と先行詞が主語で、関係代名詞が主格(SS)が同程度、先行詞が主語で、関係代名詞が目的格(SO)という順で難易度が上がるそうです。このような研究成果が文法やライティングなどのテキストを編集する際、有益な情報となるのです。