校長ブログ

新コース立ち上げ特集㊱!-トランスランゲージング

2022.12.24 グローバル教育
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 新学習指導要領では、「授業は英語で」が標榜されています。コミュニケーション・ツールとして英語を指導する場合、生徒がなるべく多く英語を使う環境を提供するのが授業者の責務ですが、だからといって英語しか使ってはいけないということではありません。大切なのはバランス。即ち、状況に応じて、日本語を活用して教えた方がよい場面もあるのです。

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 英語の指導といってもその範囲は、音声、意味、形態、統語、文化理解など多岐にわたりますから、授業の目標によってアプローチの方法にバリエーションをつけなければなりません。例えば、抽象度の高い日本語を英訳する場合、英語だけで日本語の文脈が完全に理解できる生徒ばかりがいるわけではありません。到達度によって、日本語を介して解説した方がよい場合もあるのです。

 トランスランゲージングと呼ばれる指導法があります。これは2つの言語を交互に切り替えながら、それぞれを効果的に用いること。つまり、従来の日本語を用いた指導法です。英語学習において、All Englishによるアプローチが不可欠である一方、母語リソースをコミュニケーション・スキルとして自主的に活用する、日本語を部分的に使うことも尊重すべきティーチング・メソッドなのです。

 例えば、教師-生徒の場合、語彙やフレーズを確認する際、生徒から日本語を引き出し、理解しているかどうか確認する、英語とのニュアンスの違いに触れてナチュラルな英語に修正するといった作業で母語の活用が効果的に機能していることは明らかです。また、生徒同士の学び合いの場合、覚えた単語を会話で使ったものの、他の生徒に伝わらなかったので、部分的に日本語で補足することで円滑なコミュニケーションが成立したという事例もあります。いずれにせよ、場面に応じて日本語を組み込んだ方がよいのは自明です。

 All Englishの展開でも、到達度に応じてオーラルだけでなく、板書やハンドアウトに日本語を織り交ぜたりすることで生徒の言語レパートリーを最大限に活用した取り組みを行うことが論理的思考力を鍛え、多文化理解に直結していくのです。