校長ブログ
新コース立ち上げ特集㉟-文化変容
2022.12.17
グローバル教育
12月17日
文化変容(acculturation)とは、二つの文化接触によってもたらされた新しいアイデンティティのこと。当然、個人差はありますが、その過程で、① 周囲の斬新さに喜ぶ ➡ ② 文化ショックを受ける➡ ③ 多様性を受け入れ、緩やかに回復する ➡ ④ 新しい文化の中で自己確立という段階を経て成長していくことになります。
この領域ではシューマン(Schumann)の文化変容モデル(Acculturation Model)が有名です。これは海外からの移民の第二言語習得研究で注目されました。内容は目標言語に対し、一体化したいという気持ちがあれば言語習得は促進されるという仮説。シューマンは、人は言語そのものを学ぶだけでなく、新しいライフスタイルや思考様式をどの程度、受容したかに影響を受け、結果、文化に適応する度合いが高くなればなるほど、それに応じるようになると言及しています。
文化変容モデルは、教室外の自然な言語習得場面で第二言語を習得する場合に適用されるもの。シューマンは文化変容を決定する要因として、社会的距離(social distance)と心理的距離(psychological distance)があるとし、この2つの距離が大きくなればなるほど第二言語習得は進まず、その距離が小さくなれば学習が促進されると述べています。
グローバル化、DX化が進展する今、異文化理解から一歩進めて「国籍や民族などの異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の構成員として共に生きていくこと」(総務省)と定義される多文化共生社会の形成を意識しなければなりません。その意味で、中高教育現場が果たす役割は大きいと言えます。
日本は外国語としての英語、つまり、EFL(English as a Foreign Language)という環境ですが、新設のグローバル選抜探究コースでは、英語をコミュニケーション・ツールとなるよう指導し、教室内外でのインタラクションを増やし、そうした言語リソースを用いた社会的な相互作用によって、「深い学び」につなげていきたいと構想しています。