校長ブログ

新コース立ち上げ特集㉝-レキシカル・グラマー

2022.12.03 グローバル教育
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 英語が得意でないという生徒にどの分野に課題があるのか尋ねると、文法という答が大半を占めます。文法とはまさに文を構成する規則のことですが、これまで様々な文法論が展開されてきました。日本では、脈々と受け継がれる5文型を基本とする学習英文法が独自の体系を構築し、学校現場に定着していますが、時代の変遷とともに、様々な新たな文法理論が提案されているのもまた事実。今回は、レキシカル・グラマーについて。 

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 レキシカル・グラマーとは単語のコア、つまり、語彙の本質的な意味から文法を説明しようとするもの。語彙文法とも訳されています。多様な言語現象を単語がもっている中核的な意味からアプローチしようとしているところは興味深いところです。

 例えば、toは元の意味が「対象に向かって」、つまり、互いに顔を見合わせて、「相対する」イメージと捉えた上で、前置詞に適用させると、face to faceが「面と向かって」、dance to the musicが「音楽に合わせて踊る」、The score is 5 to 1.が「得点は5対1です」などの意味が理解できるはずです。

 また、不定詞に適用させて、I want to become an artist. を考えると、「私は芸術家になるという"行為と向き合う″ことを欲している」➡「私は芸術家になりたい」という未来のある行為に向いている状況が理解され、不定詞が「これからする(まだしていない)」未来指向と言われる理由につながります。

 前置詞のtoは空間的に対象に向いており、不定詞のtoは時間的な行為に向いているという違いはあるものの、toにはお互いに顔を見合わせて、「相対する」ようなイメージが備わっているのがつかめればインプット完了。これがコアと構文の相互関係に着目するレキシカル・グラマーの真骨頂なのです。しかし、どんな理論も万能ではありません。例えば、I'm glad to see you.(お会いできて嬉しいです)などは、すでに相手と会っているときに用いる言い方ですから未来指向ではありません。ここでは「あなたに会う」という行為と「相対して」嬉しいという柔軟な捉え方ができることが重要なのです。コアを活用して文法の仕組みを原理的に明らかにする姿勢を培うことが効率的な学習につながることは明白です。