校長ブログ
世界大学ランキング
2022.11.15
大学進学研究
11月15日
タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)によれば、世界大学ランキングにおいて、全体のトップは7年連続で、イギリスのオックスフォード大学、日本は一番手が東大で39位、続くのが京大で68位という結果。東大は前年の35位から39位、京大は61位から68位に順位を下げています。
この調査は、対象が104の国・地域の1799大学であり、研究内容などの5分野を総合的に評価したものとなっています。東大、京大の順位が下がったことに対し、両大学とも学習環境や出版物の研究者による引用回数などの分野で評価が下がったことが要因とされています。
上位10位まではイギリス、アメリカの大学が独占しており、アジアのトップは清華大で16位、続く北京大が17位、シンガポール国立大が19位となっています。ランクインが一番多かったのがアメリカの34校、アジアでは中国の7校。ちなみに、日本の大学で200位に入ったのは東大と京大だけです。500位まで広げると、250位内に東北大、300位内に大阪大、350位内に名古屋大と東京工大がランクインしています。
文科省が競争的研究資金の拡大を打ち出したのは約20年前ですが、ランキング向上という成果に結びつかなかったのが現状です。大学院を例にしても、米国で企業に採用された博士の年収の中央値は物理科学分野で11万ドル(約1,600万円)、生命科学分野で10万2千ドル(約1,500万円)。日本の場合、文科省によると、大学院卒の平均年収は学部卒よりも高いものの、博士課程修了者は非正規雇用になる割合が高く、キャリアに見合った収入を得られていないという声もあります。研究力低下が指摘されている日本ですが、イノベーションの担い手となる高度人材の育成に向けて、院生のポスト確保だけでなく、研究時間の確保、大学ガバナンスや教学マネジメントなど、検討すべき課題が山積していることは事実です。
[参考]大学卒業後、収入に応じて返済する「出世払い」型の奨学金の議論が始まっています。イギリスなどでは、国が授業料相当額を立て替えて大学へ支払い、卒業後に年収が一定水準を超えてからの返済するというシステムですが、日本の場合、卒業後すぐに返済が始まります。結果、在学中は経済負担が軽くなるものの、課題は返済できる収入の確保が問題になってくるのです。