校長ブログ

ギフテッド

2022.11.02 トレンド情報
11月2日

 多様化が進む昨今、児童・生徒一人ひとりのポテンシャルを引き出す「個別最適な学び」が標榜されています。そこで求められるのがギフテッド(gifted)への支援。ギフテッドとは「神から授けられた」という意味で、才能をもった子どものこと。学力だけでなく、運動や芸術といった分野に優れた才能を発揮する子どもに使われる場合もあります。現在、IQなどの基準を設ける国もありますが、子どもたちを「ラベル付け」しかねないとして、日本では明確な定義はありません。

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 文科省の有識者会議では、その語のイメージが異なるとしてギフテッドとは言わず、「特異な才能」と表現してきましたが、来年から「特異な才能」を持ちながらも学校生活に悩みを抱える児童・生徒の支援を本格実施するとのこと。具体的には、到達度や特性に応じた学びの選択として、個別学習やオンライン教育プログラムへの参加可能な環境整備が提言されています。

 現状として、義務教育年齢に応じた進級が通例であり、学校が支援対象を見極められるかが最大のポイント。しかし、こうした施策が現場の余裕を奪い、労働負担の要因になるのではないかと懸念されます。「働き方改革」が進められる中、このような対応を現場の裁量に委ねるのでは課題が多すぎますから混乱が生じないよう判断の指標が不可欠です。当然、それに伴う予算と支援内容、教員研修が求められます。

 有識者会議が行なったアンケートによると、算数や芸術などで特異な才能のある小学生約500人のうち28%に不登校やその傾向があったとのこと。学校生活に困難を抱える子どもが一定数います。また、「自分のレベルに合わせた勉強は許されず、周囲に合わせるように叱られた」といった回答があるのが現状です。

 海外では「特異な才能」をもつ子どもに対する教育プログラムを提供する国が多いのは事実。ただし、英才児を選抜する韓国やシンガポールの取り出し型や協働を重視するフィンランドのインクルーシブ型など、各国の仕組みは異なります。

 1.8%の子どもが才能教育の対象となる韓国は、数学や科学分野に特化した高度な教育を受けられる機関を有し、シンガポールは小学生全員が対象の試験で約1%を選び出すそうです。一方、フィンランドは同じ教室で個々のニーズに沿った教育を重視。多様性の尊重し、個別に高度な課題を与えるシステム。これは日本の個別最適化に近いアプローチです。