校長ブログ
新コース立ち上げ特集㉗-結束性と一貫性
2022.10.22
グローバル教育
10月22日
談話は、文のつながりとなる結束性(cohesion)がパラグラフとなり、さらにそのつながりが一貫性(coherence)をもったテキストを構成します。結束性が文法的、語彙的手段によって示される表面的な結びつきであるのに対し、一貫性は表面上には現れず、話者同士が共有する文化的、社会的な知識などを通して文脈論理を関係づけるものと言えます。その意味で、コミュニケーション力における流暢さの違いはその温度差から生じると言えます。
温度差を埋めるためには結束性、つまり、情報の連続性となる文のつながりや語彙的連鎖による文を超えた意味のつながりに習熟しなければなりません。Halliday and Hasan(1976)は、結束性を指示(reference)、代用(substitution)、省略(ellipsis)、接続語(conjunction)、語彙的結束性(lexical cohesion)に分類していますが参考になります。
英語に限らず、どんな言語であっても実際のコミュニケーションにおいて、旧情報を受けてそれを代名詞で表したり、繰り返しを避けるために反復する語句を省略したり、他の語に置き換えたり、接続語を用いて文の配列を明瞭にしたりといった特性があります。それを身につけることがコミュニケーション・スキル上達には不可欠。自明なことなのですが、平常授業のリーディングやリスニングといったインプット活動、ライティングやスピーキングといったアウトプット活動の中でマスターしていきたいものです。
国公立大学の個別試験でも配点のウェートが高い読解問題の攻略に役立ちます。出題傾向を見ても、下線部の内容説明や和訳、空所補充、語句のパラフレーズや整序、一致問題は相変わらず。特に、評論文の場合、パラグラフの中の文と文の関係である「A、即ちB」という「言い換え」、「A、例えばB」という「具体例」、「Aに対しB」という「対照・対比」、「A、だからB」という「因果関係」などの結束性を読み取りができればone paragraph one ideaをつかみやすくなり、読解力は格段に上がります。そして、次の段階として、パラグラフ間の関係をおさえ、一貫性を把握できるようになればパラグラフ・リーディングが可能になるのです。