校長ブログ
うるう秒廃止論
2022.10.06
トレンド情報
10月6日
うるう秒とは、世界の標準時が地球の自転に基づく時刻からずれるのを修正するためのものですが、以前から廃止論が出ています。
様々なシステムが互いに結びつくIot社会が到来した今、システム間で時刻の変更が生じると、システム障害を引き起こす可能性があり、廃止論の背景にはそのリスク回避があります。以前は、標準時よりも地球の自転に基づく時刻の方が遅く、補正では1秒を足していました。しかし、この10年で地球の自転は速まり、この状態が続けば2020年代には1秒を消す負のうるう秒が必要となるのです。
標準時は、原子の振動現象である原子時計で決められています。その中で、時刻と方角をつなぐうるう秒は地球の自転による時刻と原子時計に基づく時刻がずれないように導入されたものですが、59秒から00秒に移る前に60秒を追加していく予定だそうです。
世界無線通信会議(2015)では、日米中韓仏などがうるう秒の廃止に賛成、ロシアや英国などが現状維持を表明しました。アジア、欧州、南北米、旧ソ連圏などでも廃止容認の模様です。現在、うるう秒の存続を要望する国や地域はなく、2035年までに廃止、将来的には、1時間を補正するうるう時間を想定し、100年は時刻を補正しない方向性とか...。しかし、米国のテック企業など、ソフトウエアに影響を与える可能性があると懸念を表明しているところもあります。
人は昔から、午後0時を昼、午前0時を夜中をベースにして、日時計を用いて太陽の動きと時刻を結びつけてきました。うるう秒の補正をしなければ、ずれが生じ、いずれ標準時の午後0時は、空が真っ暗な真夜中ということが起こるかもしれません。地球の自転に合わせてきた暮らしが変わることには一抹の不安が伴いますが、社会の変化以上に、地球の営みに変化が訪れようとしている現実を直視せざる得なくなってきているのです。