校長ブログ

高校新科目:公共

2022.10.25 教科研究
10月25日

 学習指導要領が改訂され、高校に「公共」という新しい科目が入ってきました。今春入学した新入生から適用され、2024年度以降の「大学入学共通テスト」から出題科目となる予定です。

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 この科目は、探究学習の「主体的・対話的で深い学び」的アプローチを重視、生徒同士のディスカッション、つまり、「議論」する力の育成を目標にしています。実際の授業では、政治や法律、例えば、選挙制度や社会保障などに取り組み、これまでの「現代社会」という科目は廃止されます。

 現場の状況を見ていると、どの学校でもノウハウの蓄積がない分、試行錯誤しながら効果的な授業づくりに励み、経験値を積み重ね、教員間で情報共有できる仕組みを作り上げようとしています。肝心の生徒の反応としては、座学の授業より記憶に残ると好評。しかし、「合意形成を視野に他者と議論する力」が重視される分、生徒の意見に温度差が生じ、ハンドリングに工夫が必要されることが特記事項です。

 変化の激しい社会の中で、中央教育審議会が協働的な学び、つまり、「自分の考えを伝えるとともに、多様な人々と協働できること」を掲げたのが2016年。ポイントは、どのように生徒同士が「議論」できる環境を作れるか、そして、どのように教師同士が授業をイメージしやすい環境を作れるかということです。

 各省庁は教材を準備し、授業案を作成しています。例えば、金融庁は公共で使える金融経済をテーマとした教材を作成し、厚労省は公共で取り扱う社会保障制度に関する授業案を公表しています。

 本校では、授業をどう進めるかを教師同士で考える機会を醸成するために、これまでの教科会を今年から人文系教科部門(国語、書道、社会、英語)、理数系教科部門(数学、情報、理科)、芸術・体育系教科部門(保健体育、音楽、技術家庭、美術)にグルーピングし、教科横断的取り組みを可能にしました。ねらいは、生徒のみならず、教師も背景知識を強化すること。巷には指導書や対策となる教材が溢れんばかりですが、部門ごとに情報を整理、議論を交わし、合意形成していただき、本校独自の教科指導に寄与してくれることを期待しています。