校長ブログ
生命の源
2022.09.21
トレンド情報
9月21日
海洋研究開発気候などの研究チームが探査機「はやぶさ2」で小惑星「りゅうぐう」で採取したサンプルを分析、宇宙から生命の源となる物質が地球に運ばれた可能性があることをネイチャーアストロノミー(英)に発表しました。
サンプルには、ケイ酸塩と呼ばれる水を含む鉱物があり、その中に有機物の一種が含まれていたとのこと。そして、この物資が太陽系外縁で生まれ、セ氏30度以上の温度になると分解し、熱などに強いことをつきとめました。
つまり、ケイ酸塩は耐熱性に優れ、熱に弱い脂肪族炭化水素などの有機物を守る役割を果たし、水や有機物がつくられる場所になっていたというわけです。今回は、こうした有機物が地球へ届けられたとする仮説が提唱されたのです。
また、りゅうぐうの組織が太陽系外縁部のちりなどに近いことも明らかになりました。そのため、含まれる水や有機物は太陽系外縁で生まれた可能性が高く、それが太陽系の内側に移動し、火星と地球の間を周回する軌道に達してもなお鉱物がそれらの物質を守り続けたと考えられています。
生命の誕生に使われた有機物や水がどこからきたかは未だ解明されていません。これまでは地上で生成されたものが使われたと考えられていましたが、太陽系外縁で作られたものが小惑星によって地球に運ばれて貢献したことを示唆しています。
今、多くの国で生命や太陽系の起源についての解明が試みられています。すでに、アメリカや中国などは、火星や月、小惑星からのサンプル回収のプロジェクトをスタートさせています。教科書で習ったことを覆す新事実の発見が、ひいては、人類の発展につながります。生徒諸君には学問がその一翼を担うことを再確認してほしいものです。