校長ブログ
変容する大学入試
2022.09.19
大学進学研究
9月19日
大学入試と言えば、年内は総合型選抜と学校推薦型選抜からスタートし、年を超えて1~3月に実施される大学入学共通テスト➡️私大➡️国公立の前中後期という一般選抜(一般入試)というスケジュールが定着しています。
ここ数年、年内に進学先が決まる生徒が増えていますが、昨年の大学入学者数を見る限り、新入生となる約62万人のうち、総合型選抜が約7万7千人で約13%、学校推薦型選抜が約23万1千人で約38%となり、合計すると半分を超える結果になりました。
9月に出願が決まる総合型選抜は、かつてAO入試と呼ばれ、1990年代頃から広がりを見せていましたが、面接や書類審査だけで合格が決まるため、"学力不問"が指摘されていました。文科省は昨年の入学生から現在の名称に変更、小論、プレゼンテーション、各種検定の結果などで学力を評価するとしました。
一方、11月に出願が決まる学校推薦型選抜は、学業や部活動の成果など、一定の条件を満たせば誰でも出願できる公募制と大学が定めた高校の生徒のみが出願できる指定校制に分かれます。18歳人口が減少する中、多くの大学が高大連携を強化し、入学定員に占める一般入試の比率が減るものの、付属・系列校からの入学者を年内に確保する動きが加速しています。
総合型選抜と学校推薦型選にあたる入学者はかつて約3割でしたが、昨年初めて半数を超えました。今年実施されたリクルート進学総研の調査(約1万1千人)によれば、第1志望の大学に入学した受験生は68.3%であり、前回(2019年)より14.8ポイント増加しています。年内入試に軸足が移り、入学者の年内確保が半数を超えれば、一般入試の偏差値は意味を失い、偏差値で大学が序列化されていた時代が終焉を迎えることになります。
今や、正解が一つの問題に早く到達できる能力を競わせる入試から、予測不可能な時代、山積する課題にチャレンジし、最適解が求められます。大学入試は変容していますが、ベネッセ教育総合研究所の調査では、約4割の大学生が入学後に高校レベルの補習を受けているそうです。
海外を見渡すと、大学を標準年数で卒業する割合は米国38%、フランス41%、英国72%、ドイツ80%とのこと。(2017)約9割が卒業する日本の大学から見ればかなり厳しい状況です。その意味で、高大連携・接続のあり方がグローバル社会で通用する人財育成の命運を握っていると言っても過言ではないと思います。